手術台の上の長女が見た夢

とある所に、

4人の家族が住んでいました。

 

小学4年生の長女と、

小学1年生の長男。

 

そして、その両親の

4人家族です。

 

父親はいつも仕事で忙しく、

 

休日も家族で外に出掛けることも

少なめでした。

 

そんな日曜日の朝。

 

朝食の席で、珍しく父親は

普段着の格好でイスに座り、

 

「父さんと一緒に

ドライブに行かないか?」

 

と子供達を誘いました。

 

2人とも喜んで「行く行く!」と

大きな声を出し、

 

話の話題はドライブの行き先で

いっぱいになりました。

 

海まで車を走らせ、

浜辺でお弁当を食べ、

 

楽しい時はあっという間に

過ぎていきました。

 

日の暮れた頃、

 

帰りの車内で子供達は疲れたのか、

ぐっすり眠ってしまいました。

 

父親もハンドルはしっかり握りながらも、

少しウトウトしながら運転しています。

 

すると、

 

突然、前を横切ってきた

大型トレーラーと、

 

必死で避けようとした家族の車が、

激突しました。

 

車は激しく大破し、

 

元の原型を全く留めないほどの

ひどい状態です。

 

家族はすぐさま

病院へ運ばれましたが、

 

1時間後に、

 

小学1年生の長男が

息を引き取りました。

 

父親と長女も出血がひどく、

一刻の予断も許さない状態です。

 

かすれゆく意識の中、

 

長女は手術台の上で

不思議な夢を見ていました。

 

それはいつもの

朝食の風景ですが、

 

ただいつもと違って、

みんな静かに黙って食べています。

 

すると、

 

食卓に座る父親が

暗い顔をしながら、

 

「父さんと一緒に行かないか?」

 

と話しかけてきました。

 

長女は何故だか

すごく悲しい気持ちになり、

 

静かに首を横に振りました。

 

「そうか・・・」

 

と父親は元気の無い声で席を立ち、

玄関の方に向かっていきました。

 

突然、長女は奇跡的に

意識を取り戻しました。

 

横には、泣いて様子を見守っていた

母親の姿が見えます。

 

それと同時に、別の手術室で

治療を受けていた父親が、

 

たった今、息を引き取った、

という知らせを受けました。

 

(終)

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