他界している祖母からの警告

あれはまだ中学生の時です。

 

風水の番組がやっていて、

 

北向きの玄関が良くないとか

どうとか言ってたんです。

 

その時、ふと友人Hの家が、

 

北向き玄関だった事を

思い出しました。

 

彼は幽霊話とか嫌いなので、

ちょっと脅かしてやろうと思いました。

 

何日か後に遊ぶ約束をして、

 

その話に尾ひれをつけて

脅かしてやろうと考えました。

 

当日、Hにその話をすると、

 

いつもは変に怖がるのに、

何か考え込んでいました。

 

何かと思い聞いてみると、

 

「つい最近なんだけどな・・・」

 

と、話し始めました。

 

彼の部屋は玄関を入って

すぐ脇の部屋でした。

 

彼がいつものように寝ていると、

 

突然、耳元で何か唸るような

声が聞こえたそうです。

 

最初は驚いたものの

すぐ冷静になって、

 

何だろうな?

と思ったと同時に、

 

ばたばたばたばたばたばたばた・・・

 

と、凄い人数の足音が、

戸の外から聞こえてきた。

 

驚いて、戸の外を

見ようとしたのですが、

 

耳元の声はまだ聞こえていたので、

先にそちらを聞こうとしたらしいです。

 

「・・・ダメだ、・・・しちゃダメだ」

 

と、微かに聞こえる声が

そう繰り返すのです。

 

Hはもっとよく聞こうと、

外の音も忘れて集中すると、

 

その声は確かに

 

「見ちゃダメだ、戸の外を見ちゃダメだ」

 

と、繰り返しているそうです。

 

見ちゃダメだと言われると

気になるらしく、

 

ちょっとだけ覗いてみようかな?

とか思った時、

 

その声は急に強い口調で、

 

「見たら死ぬよ」

 

と、一言告げたそうです。

 

その時、

初めてその声が、

 

彼の祖母の声だということに

気が付いて、

 

なかなか鳴り止まない

外の音を気にしながらも、

 

気が付けば

寝てしまったそうです。

 

よく、百鬼夜行という

言葉を聞きますが、

 

彼が遭遇したその足音は、

 

まさにその百鬼夜行

だったのでしょうか。

 

後にも先にも一度きり

だったみたいです。

 

Hの祖母は、

随分昔に亡くなっています。

 

彼はそういった霊現象に遭うと、

 

何かしらの形でおばあちゃんが

守ってくれるそうです。

 

余談ですが、

 

Hと、もう一人と俺で、

怪談話をしていた時、

 

Hが急に、

 

『何かいる気がするから辞めよう』

 

とか言い出したので、

 

さすがにネタも尽きた事から

電気を点けようとしたら反応が無い。

 

友達がふざけているのかと思い、

代わってスイッチを入れても反応なし。

 

ちょっとした恐怖心に駆られて、

 

5分くらいパニックになりながらも

オンとオフをパチパチしていたら、

 

突然、電気が点きました。

 

電球は替えたばかりで、

 

その後から今に至る10年間、

スイッチの接触等には問題ありません。

 

やっぱり来てたのかな・・・。

 

(終)

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