頭の中だけで響いた忠告する声
私が中学の頃の話です。
こっくりさんやエンジェルさん
といったものが流行り、
ご多分に漏れず、
私もはまりました。
「もう止めなよ」
と止められても、
一日に何度も繰り返し
していました。
家に帰り、
ぼんやりピアノを弾きながら、
「そうだ!エンジェルさんで
皆の相談に乗ってみたりしようか」
などと、
今から思えば無謀かつ、
ガキ丸出しの妄想をした瞬間、
「それは止めた方がいい」
と大きな声が鳴り響きました。
とてもびっくりして
周りを見回しても、
誰もいません。
それは、頭の中に直接
鳴り響くような声で、
イメージとしては、
銅の鐘を打ち鳴らすような
太い低めの男性の声でした。
さすがに少し怖くなり、
それ以来、
エンジェルさんはしなくなりました。
未だにあれは一体、
何だったのか分かりません。
自分の思考以外の声が
頭の中で聞こえたのも、
その時の一度きりです。
ちなみに、
はまっていた頃に
学校のトイレへ入った時、
前の個室トイレの下の隙間から
髪の毛の束がザッザッと出て、
すぐ引っ込んだのを見たような
気もするのですが、
それは単なる妄想かも知れません。
怖すぎて、ハッキリした
覚えがありません。
(終)