あるヒキニートの理由
オレ5年くらいヒキニートやってんのね。
地元のFラン大行ってた時は、
まあ、なるべく人いない場所探してメシ食ってた。
ホントにたまたまなんだけど、
腹痛くて大学のトイレ籠もった時に
飯食う場所探すのめんどくさくなっちゃってさ、
そのままそこでコンビニのカツサンド食ってたわけよ。
そしたらさ、いや~な感じの笑い声で
トイレに2人組が入ってきちゃってさ。
本気で気配消してたんだけど、
「おいおい~ハヤリの便所メシじゃね?」
ソッコー便所メシ気づかれちゃってるしw
もう、そっからドアを殴るわ蹴るわの暴挙。
「あははっ出てこいよ~」
「一緒に食べようよ~w」
まあ生きた心地しなかった。
しばらくしてピタッと声が止んだんだよね。
おそるおそる鍵開けてトイレ出ようとしたらさ、
「ハハハ待てよ」
腕がオレの脚を掴んでてさ。
それが凄い臭い。吐きそう。
腐って蛆がわいてる腕が、
両隣の個室から異様に伸びて、
オレの両脚を掴んでんの。
「あははっ出るなよ」
「一緒にたべようよ」
耳元で声がする。
もうそっから必死。
半狂乱。
なんかちぎれる音も聞こえた。
マジ泣きで叫びながら走った。
どうやって帰ったか覚えてないけど。
で、それが5年くらい前の話なんだけどさぁ、
ヒキニート決定の瞬間だったよ。
オレだってホントは就職して
親孝行とかしてみたいんだけど、
いまだに腐った臭いがとれなくて
部屋出れないんだよね。
オレの脚にちぎれた腕がついてるから。
(終)