寂れた店で見つけた古い玩具 3/3

正20面体

 

金曜日。

 

奇妙な電話の事も

気になった俺は、

 

彼女に電話して

家に行く事になった。

 

リンフォンはほぼ

魚の形をしており、

 

後は背びれや尾びれを

付け足すと完成、

 

という風に見えた。

 

「昼にまた変な電話が

あったって?」

 

彼女「うん。

 

昼休みにパン食べてたら

携帯が鳴って。

 

今度は普通に非通知

だったんで出たの。

 

それで通話押してみると、

 

『出して!』って大勢の

男女の声が聞こえて、

 

それで切れた」

 

「やっぱ混線か

イタズラかなぁ?

 

明日、ドコモに一緒に

行ってみる?」

 

彼女「そうだね、

そうしようか」

 

その後、

 

リンフォンってほんと

凄い玩具だよな、

 

って話をしながら、

 

魚を完成させるために

色々いじくってたが、

 

なかなか尾びれと背びれの

出し方が分からない。

 

やっぱり最後の最後だから

難しくしてんのかなぁ、

 

とか言い合いながら

四苦八苦していた。

 

やがて眠くなってきたので、

 

次の日が土曜だし、

 

着替えも持って来た俺は

彼女の家に泊まる事にした。

 

そして、嫌な夢を見た。

 

深くて暗い谷底から、

 

大勢の裸の男女が

這い登って来る。

 

俺は必死に

崖を登って逃げる。

 

後少し、

後少しで頂上だ。

 

助かる。

 

頂上に手をかけたその時、

女に足を捕まれた。

 

『連れてってよぉ!』

 

汗だくで目覚めた。

 

まだ午前5時過ぎだった。

 

再び眠れそうになかった俺は、

 

ボーっとしながら

彼女が起きだすまで、

 

布団に寝転がっていた。

 

土曜日。

 

携帯ショップに行ったが、

大した原因は分からなかった。

 

そして、

話の流れで気分転換に

 

「占いでもしてもらおうか」

 

って事になった。

 

市内でも「当たる」と有名な、

 

猫おばさんと呼ばれる

占いのおばさんがいる。

 

自宅に何匹も猫を飼っており、

占いも自宅でするのだ。

 

ところが予約がいるらしく、

電話をすると、

 

運良く翌日の日曜日に

アポが取れた。

 

その日は適当に買い物などして、

外泊した。

 

日曜日。

 

昼過ぎに、

猫おばさんの家に着いた。

 

チャイムを押す。

 

占師「はい」

 

彼女「予約した○○ですが」

 

占師「開いてます、どうぞ」

 

玄関を開けると、

廊下に猫がいた。

 

俺たちを見ると、

 

ギャッーと威嚇をし、

奥へ逃げていった。

 

廊下を進むと、

洋間に猫おばさんがいた。

 

文字通り、

猫に囲まれている。

 

俺たちが入った瞬間、

一斉に「ギャーォ!」と、

 

親の敵でも見たような

声で威嚇し、

 

散り散りに逃げていった。

 

流石に感じが悪い。

 

彼女と困ったように

顔を見合わせていると、

 

占師「すみませんが、

帰って下さい」

 

と猫おばさんが言った。

 

ちょっとムッとした俺は、

どういう事か聞くと、

 

占師「私が猫をたくさん

飼ってるのはね、

 

そういうモノに敏感に

反応してるからです。

 

猫たちがね、

 

占って良い人と悪い人を

選り分けてくれてるんですよ。

 

こんな反応をしたのは

初めてです」

 

俺は何か閃くものがあって、

 

彼女への妙な電話、

俺の見た悪夢を、

 

おばさんに話した。

 

すると、

 

占師「彼女さんの後ろに、

 

動物のオブジェの様な

ものが見えます。

 

今すぐ捨てなさい」

 

と渋々おばさんは答えた。

 

それがどうかしたのか、

と聞くと、

 

占師「お願いですから

帰って下さい。

 

それ以上は言いたくもないし

見たくもありません」

 

とそっぽを向いた。

 

彼女も、顔が蒼白に

なってきている。

 

俺が執拗に食い下がり、

 

「あれは何なんですか?

 

呪われてるとか、

 

よくアンティークにありがちな

ものですか?」

 

おばさんが答えるまで、

何度も何度も聞き続けた。

 

すると、

おばさんは立ち上がり、

 

占師「あれは凝縮された

極小サイズの地獄です!

 

地獄の門です、

捨てなさい!

 

帰りなさい!」

 

彼女「あのお金は・・・」

 

占師「入りません!!」

 

この時の絶叫した

おばさんの顔が、

 

何より怖かった。

 

その日、彼女の家に

帰った俺たちは、

 

すぐさまリンフォンと黄ばんだ

説明書を新聞紙に包み、

 

ガムテープでぐるぐる巻きにして

ゴミ置き場に投げ捨てた。

 

やがてゴミは回収され、

 

それ以来、これといった

怪異は起きていない。

 

数週間後、

彼女の家に行った時、

 

アナグラム好きでもある彼女が

紙とペンを持ち、

 

こう言い始めた。

 

アナグラム(Wikipedia)

 

彼女「あのリンフォンって、

RINFONEの綴りだよね。

 

偶然というか、

こじ付けかも知れないけど、

 

これを並べ替えると、

 

INFERNO(地獄)とも

読めるんだけど・・・

 

「・・・ハハハ、

まさか・・偶然偶然・・・」

 

彼女「魚、もし完成してたら

一体どうなってたんだろうね?」

 

「ハハハ・・・」

 

俺は乾いた笑いしか

出来なかった。

 

あれがゴミ処理場で

処分されていること、

 

そして2つ目がないことを、

俺は無意識に祈っていた。

 

(終)

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