ドルイド信仰と儀式の生贄 1/4
ドルイドとは、
ケルト人社会における
祭司のこと。
Daru-vid
=「オーク(ブナ科の植物)の賢者」
の意味。
ドルイドの宗教上の特徴の一つは、
森や木々との関係である。
ドルイドは、
ヤドリギの巻き付いた
オークの木の下で、
儀式を執り行っていた。
柳の枝や干し草で
編み細工の人形を作り、
その中に生きたままの
人間を閉じ込めて、
火を点けて焼き殺し、
その命を神に奉げるという、
人身御供の祭儀も
行っていた。
刑罰の一種として、
森林を違法に伐採した場合、
樹木に負わせた傷と
同じ傷を犯人に負わせて
木に縛り付け、
樹木が許してくれるまで
磔(はりつけ)にするという
刑罰もあった。
自分の叔父は仕事柄、
船で海外に行く事が多かった。
詳しい事は言えないが、
いわゆる技術士だ。
1年の6~7割は海外(特に北欧)
で仕事をしている様な人で、
日本に帰って来ている時は
良く遊んでもらったものだ。
今は既婚で、
引退して悠々自適な
生活を送っており、
知識も豊富で
バイタリティ溢れる
快男児だ。
その叔父に、
こんな恐ろしい話を聞いた。
当時、叔父は30代で、
彼女とマンションに同棲しており、
幸せに暮らしていた。
ひょんな事から、
お隣さんと親しくなったらしい。
お隣さんは年配の夫婦で、
病気の子供が一人。
その旦那さんも仕事柄、
海外に飛ぶ事が多い
との事だった。
話題も合うと言う事で、
叔父とは意気投合し、
その奥さんも温厚で、
夕食に呼んだり呼ばれたりする
仲にまでなったそうだ。
ある年の真冬。
そのご夫婦と賑やかな
食卓を共にしていると、
そのご夫婦の別荘の
話題になった。
何でも、
関東近郊の閑静な山奥に、
別荘を一つ所有しているらしい。
近くには小川もあり、
魚等も釣れ、
年に一度は家族で
病気の息子の療養がてら、
遊びに行くらしい。
どうやら今年は仕事の関係で
行けなくなったらしく、
叔父たちに、
良かったら使ってくれても良い、
との事だった。
アウトドア好きな叔父は、
喜んで使わせてもらう事になった。
そんな叔父と趣味も合った
彼女も賛同したらしい。
そして、翌年の年明け、
叔父は彼女と共に、
その別荘へと向かった。
あまり舗装されていない山道を
40分ほど登った場所に、
その別荘はあった。
別荘を目にした途端、
彼女の溜息が聞こえたそうだ。
感動ではない方の・・・。
叔「ホント、掘っ立て小屋
みたいな感じだよ。
こっちは小洒落たロッジ的なものを
想像してたんだけどな。
あの夫婦の説明を聞く限り、
誰でもそう思うと思うよ」
叔父は苦笑しながら言った。
とにかく、その『別荘』は
お粗末なものだったらしい。
木造平屋で、
狭い玄関。
猫の額ほどのキッチン。
古びた押入れに入った布団。
暖炉がある広間がやや広い
事だけは救いだったらしい。
来てしまったものは
仕方がないので、
なるべく自分達が楽しむ
事にしたと言う。
昼は川魚を釣ったり、
近辺の林を散策し、
野草を採ったり。
それらは夕飯には天ぷらとして
食卓に並び、
それはそれで楽しい夕飯
だったそうだ。
叔「野草を採ってる時に、
かろうじて遠くに別荘が
見えるくらいの距離の、
少しだけ森の深くに
行ったんだが・・・
その時にちょっと気になる
ものがあってな。
ナラ(楢)の木があったんだよ。
クヌギなんだけどな。
この森にクヌギの木って
ちょっと浮いててな。
周りは違う種類ばかりだし、
明らかにそこだけ近年に
植林したんじゃないかなぁ。
上にヤドリギも巻き付いてたよ。
クヌギは10年も経てば
大きくなるからな。
で、気味が悪いのが、
そのクヌギに何か文字が
彫ってあってな。
オガム文字って言ってな。
古代のドルイド等が祭祀に
使ってた文字なんだよ。
横線を基準と見て、
その上下に刻んだ縦や斜めの直線
1~5本ほどで構成されててな。
パッと見は文字には
見えないんだが・・・
ま、何て書いてあるか
までは分からんが、
不気味ではあるよな。
日本だぜ、ここは」
叔父の様にオカルト方面に
知識がある人から見たら、
確かに不気味なのだろう。
そんなこんなで、
その日の就寝の時に
事件は起こった。