ドルイド信仰と儀式の生贄 2/4

クヌギ

 

叔父が、窓や玄関の

戸締りを確認しようと

 

していた時の事だった。

 

「何で最初に気が付かな

かったんだろうな。

 

鍵がな、

外側にも付いてるんだよ

 

つまり、

窓の内鍵とは別に、

 

窓の外側にも鍵が

付いているのだ。

 

玄関の入り口の戸にも。

 

「これはヤバイ、

と思ったな。

 

部屋の中の家具が

異様に少ないのも、

 

実は気になってたんだよ。

 

生活に必要な

最小限のものだけ・・・

 

それも、

全て木造で燃えやすく・・・

 

パッと思い浮かんだのが、

ウィッカーマンだな」

 

ウィッカーマン(wikipedia)

 

映画にもなり、

 

近年リメイクもされたので

ご存知の方も多いと思うが、

 

先でも書いた様に、

 

『柳の枝や干し草で

編み細工の人形を作り、

 

その中に生きたままの

人間を閉じ込めて、

 

火を点けて焼き殺し、

神に捧げる』

 

という、

おぞましい秘儀が、

 

古代ドルイドの祭儀で

あるのだ。

 

それを英語では

『ウィッカーマン(wicker man)』、

 

編み細工(wick)で出来た

人型の構造物、

 

と言うらしい。

 

「彼女を不安がらせない様に

その事や鍵の事も秘密にし、

 

俺だけ起きてる事にしたよ。

 

全部の内鍵を開けてな。

 

そしたら、夜中だよ・・・

 

砂利を踏む音と、

人の気配が別荘の外で。

 

すかさず窓を開ける。

 

件のお隣の夫婦の

旦那だった。

 

「何をなさってるんですか?」

 

叔父に急に見つかり、

 

厳しい声を投げかけられた

その旦那は、

 

驚愕の表情でしどろもどろ

だったという。

 

「いや、その・・・

大丈夫かなと・・・」

 

「大丈夫じゃなないですよ。

 

その缶は何です?

灯油の缶じゃないんですか?」

 

「い、いや・・・

 

ストーブの灯油を切らしちゃ

いかんと思ってね・・・」

 

「暖炉がありますよね?」

 

「いや・・・まぁ」

 

叔父は、外鍵の事を

厳しく追及した。

 

旦那が弁解するには、

 

この別荘は人から

譲り受けたもので、

 

外鍵はその当時から

付いていたらしい。

 

「信じるわけないわな。

 

そんな気味の悪い家で

誰が泊まりたがる?」

 

叔父は旦那の言う事を

全く信用しなかった。

 

外の騒ぎで、

寝ていた彼女も起きだし、

 

不安そうな顔を

覗かせていた。

 

「○○さん(旦那)・・・あんた、

 

ドルイドの何かをやってるんじゃ

ないでしょうね?

 

「は・・・?

何ですかそれは?」

 

「とぼけたって

構いませんよ。

 

裏の森のクヌギ、

良い薪になりそうだなぁ」

 

「な・・・

何を言うんですか!!」

 

「あんた、

 

俺らをウィッカーマンにして

捧げようとしたんじゃないのかっ!

 

「・・・」

 

本当の事を言わないのなら

クヌギを切り倒す、

 

と脅した叔父に対し、

 

旦那は全てを話し始めた。

 

先にも述べた通り、

 

この夫婦には重い病気の

息子が一人いる。

 

治療法は、

 

病の進行を遅らせる、

強い副作用のある方法しかない。

 

あらゆる方法を試したが、

 

病は一向に癒える

気配はなかった。

 

そんな藁にも縋る思いも

極まった時の事。

 

15年前、

 

仕事先で訪れた

ウェールズのある村で、

 

ドルイドの呪術師に

出会ったという。

 

そのドルイドの呪力が篭った

オークの木の苗を、

 

大枚叩いて旦那は買い、

日本へ持ち帰った。

 

そのドルイドから授けられた

秘術は、

 

毎月6日に白い衣装を身につけ

オークの木に登り、

 

ドルイドから譲り受けた鎌で、

(これも大枚叩いて買ったらしい)

 

オークに寄生している

ヤドリギの枝を切り取り、

 

『生贄(いけにえ)』を

オークの木に捧げる、

 

というものらしい。

 

その祭儀の見返りの願いは

言うまでもなく、

 

息子の病を治す事だ。

 

「確かに、その日は

1月6日だったなぁ・・・」

 

「生贄って・・・」

 

俺は、恐る恐る

叔父に聞いた。

 

「最初は小動物とか

だったらしいよ。

 

ハムスターとか野良猫とか、

犬とかな。

 

クヌギの木の根元に埋めて。

 

心なしか、

大きな動物になればなる程、

 

息子の病が良くなっている

様な気がしたらしい。

 

まぁ、そのドルイドに一杯

食わされたんだろうけどな。

 

でも、病気の子供を持つ

悲しい親の愛とは言えども、

 

あんまりじゃないか?

 

俺らを焼き殺そうと

するなんて」

 

叔父は笑いながら言った。

 

それから懇々と、

その旦那を説き伏せたらしい。

 

人を呪わば穴二つ。

 

そんな事をしても、

何も良い事はない。

 

オカルト方面に詳しい

叔父だけに、

 

様々な知識も動員して、

旦那を説き伏せた。

 

「50にもなろうか

というオッサンが、

 

声を上げて泣いてたなぁ。

 

まぁ、俺らも殺されそうには

なったとは言え、

 

その旦那の気持ちも

分からんでもないからなぁ。

 

同情心もあって、

 

彼女も少しもらい泣き

してたかな。

 

旦那は、

 

クヌギも別荘も処分する事を

約束してくれてな。

 

明日にでも、

 

特にクヌギの処分は

俺ら同伴で」

 

「じゃあ、この件は、

 

警察沙汰にもならずに

一件落着、と?」

 

「ところがなぁ・・・

 

あのオークは本物

だったんだなぁ・・・」

 

(続く)ドルイド信仰と儀式の生贄 3/4へ

スポンサーリンク

コメントを残す


↓↓気が向けば下のアイコンを応援(タップorクリック)していってください♪
にほんブログ村 哲学・思想ブログ 心霊・怪談へ (ブログランキングに参加しています)
サブコンテンツ

月別の投稿表示

カレンダー

2017年12月
« 11月    
 12
3456789
10111213141516
17181920212223
24252627282930
31  
特定のキーワードからサイト内の記事を検索するには、すぐ下の「検索窓」からキーワードを直接入力してご利用ください。
アクセスランキング

このページの先頭へ