非通知でかかってくる間違い電話
今から少し前、
俺がネットを徘徊していた時のことだ。
赤い部屋完全ver.といった、
怖いものを色々と見ていたんだが、
何か一つだけ違うのがあった。
それは確か・・・
よくあるアレあれだ、
怖い画像が表示されていく中での
迷路のような・・・
気味の悪い画像が多かったというか、
作ったような画像が多かった。
例えば、
顔に舌が二つあるとか。
全部見終わった後にあった掲示板に、
変な書き込みが多かった。
『変なもん作るな』
『非常にジャマ』
といった書き込みが多数。
まあ俺は「変なもの作るな、邪魔」
という意味合いで受け止めたから、
特になんにも気にすることはなかった。
試しに怖いもの好きの友達に
メールを送って紹介すると、
しばらくして、
『あっはっは。馬鹿らしーな。
お前、こんなの好きなのか?』
って返ってきた。
『じゃあ、次のも紹介してやるよ、
○○○ってソフトなんだけどな』
みたいな感じで会話は進んだ。
そしてその日、
俺は学校から帰宅して
家で家族と団欒していると、
家の電話が鳴った。
非通知だ。
その時は電話に近かったのもあって、
たまたま俺が出た。
「はい、もしもし。○○ですが」
『サトウさんのお宅ですか?』
「いいえ、違いますよ」
なんだ、間違い電話か・・・
でもなんで非通知なんだ?
すると、
2分と経たずにまた電話。
今度は母さんが出る。
母さんの対応を見ていると、
また間違い電話だとわかった。
また非通知だ。
しかも今度は、
『フジワラさんのお宅ですか?』
と訊いてきたらしい。
まあ、ここまでの間違いなら
ありえることだろう。
すると、今度は1分ほどで
電話がかかってきた。
流れは同じだが今度は、
『サタケさんのお宅ですか?』
と訊いてきた。
いい加減に気持ち悪くなったので、
「さっきから何ですか?
もう3度目ですよ?」
と聞き返すと、
『ごめんなさい・・・』
とポツリと呟いて電話が切れた。
その時はそれで事なきを得た。
翌日、
自転車で登校途中、
向こうから明らかに変質者的な女が
歩いてきた。
しかも、結構背も高い。
その時は8月で夏真っ盛り。
にも関わらず、
白いコートを重ね着している。
「すれ違う時に
刺されたりしないよなぁ」
とか危惧しながら慎重に通る。
・・・・・・
普通にヤツは通り過ぎた。
安堵して後ろを振り向くと、
こっちをずっと向いている。
俺の目を凝視している。
うわぁ、気持ち悪りぃヤツだ!と思って、
その場はとりあえず離れた。
何日かして、
学校でこんな噂が立ち始めた。
A「なあなあ、知ってるか?
今朝さ、」
B「ん?」
A「あっ、○○(俺)!」
俺「何だ?」
A「お前、正門で変な女が
お前の写真をばら撒いてるぞ」
俺「うっそ、マジで?
誰だソイツ?」
A「今は先生が止めに入ってるけど、
もう何十人も貰ってるぞ」
俺「ちょっと見てくるわ」
・・・・・・
A「あいつ、
あのサイト見たのかな?」
噂というよりか、
まあ、聞こえた・・・。
そして廊下に出ると、
もはや俺の写真の話題でもちきりだ。
友達の一人にそれを見せてもらうと、
家の外から撮られたと思しき、
俺がパソコンをしている写真だ。
俺は正門に行ってみるが、
既に女は追い出されたようだ。
仕方なく写真を貰った人間から、
一つずつ回収していく。
それだけで休み時間は無くなった。
俺はその女の風貌を聞き込みする。
皆の証言は以下の通りだ。
「コートを何重にも着ている」
「異常な厚底ブーツ」
「変なニオイがする」
「ブーツのせいか異様に背が高い」
「歯が黒い」
そのほとんどの目撃証言が、
怪しさ全開だ。
「コートを何重にも着ている」
「ブーツのせいか異様に背が高い」
この二つは、
あのすれ違った女に該当している。
背は確か180~190センチくらい。
あれはブーツの分が
上乗せされていると考えれば、
まあ納得できる。
変なニオイだったかどうか、
確認はしていない。
というより、嗅いでいない。
ソイツはずっと口を閉じていたから
歯の色もわからなかった。
しかし、
どう考えてもこいつの行為は悪質だ。
その日、家に帰って
このことを親に説明すると、
警察に相談してみると言ってくれた。
しかし、警察に相談しても、
まともに取り合ってもらえず、
『証拠』
を必要とした。
しかもそれからというもの、
誰からか知らないが毎日のように
間違い電話がかかってくる。
恐らく同一の人間からだろう。
しかしその度に、
『ヤマダさんのお宅ですか?』
『カシマさんのお宅ですか?』
であったり、
とりあえずどこの家に電話をかけたいのか、
よく分からなかった。
もしかすると、
あのストーカー女が
間違い電話女ではないのか?
そんな風に思えてきた。
さすがにしつこいので、
数十件にも及ぶ着信を録音。
警察に提出する。
そこでとりあえず、
俺の名前やらを色々聞かれた。
まあ、対応してくれる的なことを
そこで聞いたから、
俺は安心して家に帰った。
しかし、家に帰った途端、
また電話が鳴り出す。
俺は受話器をそっと上げる。
・・・・・・
「はい、○○ですが・・・」
『みぃつけたよ』
ガチャッ。
ツッーツゥーツゥーツゥー・・・
俺はどうなるんですか?
殺されるんですか?
(終)