教室がパニックになった英語の授業
中学の時の英語の先生の体験談。
4~5人のグループに分かれて、
英語で寸劇をする授業をしていた。
父、母、娘(または息子)、
その友人の役にそれぞれがなり、
友達を誘って一緒に学校へ行くまでの
朝の情景を演じるという、
極々簡単なものだった。
劇の内容としては、
朝ごはんを食べている娘のところへ
友人が迎えに来て、
その家の両親に挨拶をしてから
一緒に学校へ行く、
みたいなものだった。
他のグループが演じている時は、
当然私語は禁止にしたけれど、
母親役の生徒が喋りだそうとすると、
必ずと言っていいほど、
誰かが何かを喋っている声がする。
ボソボソと声色を変えて喋っている、
みたいなそんな声。
最初の1~2回は
先生も我慢していたけれど、
さすがに3度目は先生もキレた。
「私語禁止だって言ったでしょ!
いい加減にしなさい!」
教室中はシーンと静まり返った。
「他の人がやっている時は、
ちゃんと真面目に見なきゃいけないよ。
じゃ、続きをやって下さい」
その一言で劇が再開される事に
なったけれど、
その瞬間に教室の放送用スピーカーから、
『みぃちゃん、
お母さんいないもん!』
という大きな声が聞こえた。
教室は瞬時にパニック。
もう、授業どころではない。
後から確認すると、
その放送(声)が聞こえたのは、
そのクラスだけだった。
(終)