神社の小道から続く先で見つけたもの 1/2

防空壕

 

これは俺が小学校の時の話。

 

神奈川県鎌倉市、

諏訪(すわ)神社での出来事だ。

 

学校の近所に諏訪神社があった。

 

ここは御多分に漏れず、

 

夜になると『出る』という

噂の絶えない神社だった。

 

言ってみれば子供たちにとっての

禁忌みたいな所だった。

 

※禁忌(きんき)

嫌って避けること。いわゆるタブー。

 

それで、夜中にその諏訪神社で

肝試しをする事になった。

 

もちろん親には内緒、

神社の前に集合という感じで。

 

普段どんなに生意気を言っていても、

 

所詮はガキだったから夜遊びなんて

滅多にあるものではなかった。

 

だからだと思うけれど、

友達のテンションがいつもより高かった。

 

もちろん俺も。

 

集まる事になった日の夕方、

懐中電灯にお菓子、

 

必要無いのに非常時用に

ラジオや水もリュックに詰めた。

 

神社の前に集まると、

 

全員のリュックが同じように

パンパンに膨らんでいた。

 

軽く遠足に行くようなものだと、

みんな思っていた。

 

メンバーは4人。

 

分かりやすくするために、

A、B、C、俺としておこう。

 

諏訪神社の入り口には、

 

子供の俺からしたら、

それは長い急勾配の階段があった。

 

神社そのものが、

 

山を開拓してその上に建てました、

という感じの構造だった。

 

古びた石造りの細い階段で、

 

上るたびに砂がパラパラと

舞ったのを覚えている。

 

階段の両脇は竹薮が鬱蒼と茂っていて、

通路にまでガサガサと伸びていた。

 

この通路の不気味さも相まって、

心霊スポットとして認知されたと思う。

 

階段を上りきると、

案外と大きい神社があり、

 

その横からは奥の雑木林に続く

小道が延びている。

 

昼でも不気味な小道だったので、

普段はその先に行く事はなかった。

 

だからその時の肝試しは、

小道の先に行く事が目標だった。

 

まず俺らの中でも一番勝気な性格の

Aが階段を上って、

 

後ろにBと俺、

最後尾に臆病なCが付いてきた。

 

俺は表面上は余裕を気取っていたけれど、

 

内心では懐中電灯の明かりって

こんな小さいのかよ・・・

 

と泣きそうだった。

 

階段を上がっている間は特に何事もなく、

 

疲れはしたけれど、

無事に神社本殿の前まで辿り着いた。

 

口々には、

 

「なんだよ、大した事ないじゃん」

 

と言いながら、

必死に場を盛り上げようとしていた。

 

俺だけじゃなくみんな怖いんだと分かって、

妙に安心した記憶がある。

 

とりあえず一仕事終えた雰囲気になったから、

 

座ってジュースを飲んだり、

お菓子を食べたりして時間を稼いだ。

 

時間を稼いだというのは、

 

俺が感じたことだから

間違っているのかも知れないが、

 

正直にそう思った。

 

誰も口にしないけれど、

 

みんなあの小道に行きたくなくて、

時間を稼いだんだ。

 

昼ですら薄暗いそこは、

夜中は完全に真っ暗闇だ。

 

黒一色だ。

 

「これで帰ろうぜ~」

 

と誰かが言えば、

きっと解散になっていたと思う。

 

でも言わなかった。

 

小学生の頃って、

 

妙なプライドみたいなのがあるから

そんな事は言えなかったのだろう。

 

俺は(ひょっとしたらAとBも)

 

臆病なCが「帰ろう」って

泣き出すのを期待していたけれど、

 

それもなかった。

 

結局、2~30分経った頃に、

Aが「そろそろ行くか」と言った。

 

その瞬間に俺達の小道進撃が決定し、

もう後戻りは出来なくなった。

 

誰もそんな気分じゃないのに、

 

「よっしゃー!」などと言いながら、

陽気を装っていた。

 

やっぱり先頭を行ったのはA。

 

付かず離れず俺とB、

最後尾にCだった。

 

あんな暗闇の中を、

 

頼りない懐中電灯一つで進むAを

素直に尊敬した。

 

小道は中に入ってもやっぱり暗くて、

曲がりくねっていた。

 

ひょっこりと顔を出す枝やデカイ葉っぱが、

人やら得体の知れない何かに見えて怖かった。

 

先頭を勇ましく進むAもそれは同じらしくて、

曲がり角で何度かビクッと体を強張らせていた。

 

5~6ほどの曲がり角を越えた辺り、

 

距離的には100mほど進んだところで

ぽっかりと道が開けて、

 

ちょっとした広場みたいな所に出た。

 

振り返ってみても、

神社や街の明かりは全然見えなかった。

 

俺は正直、

こんな所に来たのを心底後悔した。

 

家で漫画でも見ながら寝ていた方が

良かったと思った。

 

道が終わってしまったからか、

 

みんな懐中電灯で色んな所を照らして

何かを探し始めた。

 

俺には何を探していたのかは

良く分からなかったけれど、

 

とりあえずそこらを適当に照らした。

 

探していたのは1分かそこらだと思うが、

Bが興奮した声で俺達を呼んだ。

 

「なぁ!ちょっとこっち来てみろ!」

 

という感じで。

 

Bの近くに駆け寄って、

懐中電灯で照らされている壁を見た。

 

正確に言うと、

 

植物に遮られて半分隠れている

壁の穴を見た。

 

穴はかなり大きくて、

 

俺達くらいの身長なら、

苦もなく入れるくらいだった。

 

俺達にはこの穴が何かすぐ分かった。

 

防空壕だ。

 

俺達の住んでいる所は、

そこらじゅうに防空壕の穴があったからだ。

 

(続く)神社の小道から続く先で見つけたもの 2/2

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