てるてる坊主の絵が描かれた板塔婆

 

昔、

 

今の嫁と面白い事が

起きるのが目当てで、

 

肝試しに行った時の話。

 

(というより、

 

見るからに出そうな古い屋敷に

面白半分で突撃)

 

その古い屋敷は、

 

山を登って行くとある小さな祠

に行く途中に建っている。

 

見た目は汚くて酷いものだが、

 

しっかりしていて、

古くて汚いのに破損は無し。

 

昔に塞がれてしまったのか、

入口はない。

 

(例えるなら、馬鹿デカイ箱)

 

ただ一カ所、

 

隠し扉の様に、

壁の板が外れる所がある。

 

(実は、私だけは二回目で、

入れる所は前に発見していた)

 

その傍には、

 

不思議としか言えない

意味不明な小さな木の板が、

 

墓の様に刺さっている。

 

話は以前に来た過去に戻りますが、

 

以前ここに来た時、

この場所から入りましたが、

 

こんなものはなかった。

 

屋敷内に入ってみましたが、

 

とにかく忍者屋敷の様に、

狭い通路に入り組んだ造り。

 

色々と進んでみましたが、

必ず行き止まり。

 

むしろ、

 

ここには部屋なんてなく

通路だけなのか?

 

と思う程でした。

 

あちこちに御札が貼ってあり、

 

面白そうだから再び突撃に

女と来た訳です。

 

話は現在に戻ります。

 

その墓の様な板には、

てるてる坊主の絵が描いてあり、

 

何故か足首から先の足まで

描いてありました。

 

妙な違和感・・・

むしろ恐怖でしょうか。

 

やけに近寄りたくなくなり、

 

『なんか怖いな・・・。

もうやめとこうか』

 

女に目をやると、

いるはずの女がいない。

 

いや、今来た登山かと言う程の、

道の悪い参道を猛ダッシュしている。

 

それを見た瞬間、

当然めちゃくちゃ嫌な予感がし、

 

先にある祠の方を見ると、

 

てるてる坊主みたいな野郎が

歩いてやがる。

 

正直、

 

今までは色々心霊スポットに行って

暴れてみたりしましたが何もなく・・・

 

もし何か出ようがシバいてやりゃいい

って考えの輩でしたが、

 

あれはとにかく見た瞬間、

 

夏なのに身体が凍りついたかの様に

冷たくなり、

 

にも関わらず汗が噴き出し、

 

『ヤバい、絶対ヤバい』

 

と思いました。

 

一瞬固まっていると、

明らかにおかしい事に気づきました。

 

参道の途中とは言え、

 

参道から10m程離れた位置にある

屋敷にいる私ではなく、

 

そいつはヨタヨタ走る女をガン見。

 

さらなる恐怖を感じた私は、

すぐ女を追いかけました。

 

とにかく恐怖でいっぱいでしたが、

追われる側。

 

後ろが気になって仕方ありません。

 

走りながら後ろを見ると、

 

てるてる坊主のような

可愛い奴ではなく、

 

頭はミイラの様に包帯。

 

身体はボロボロの布切れ。

 

手はあるのかないのか分からないが、

確認出来ない。

 

問題は目と口の穴。

 

目は見開き、

口は明らかに笑っている。

 

おかしいぐらいニヤケていた。

 

もう異常だった。

 

それを見た瞬間、

 

心臓が破裂しそうな程に

バクバクと脈打ち、

 

凄まじい恐怖が襲った。

 

焦れば焦る程、

もたつく足。

 

見事にこけた。

 

下り坂の為、

 

起き上がれない程の

見事な怪我だ。

 

絶望に近い気持ちの中、

そいつが俺を追い越す。

 

まるで眼中にないかの様に。

 

その時に気づいたが、

 

そいつ・・・

間違いなく歩いているんだ。

 

どこから見ても間違いなく、

歩いている様にしか見えない。

 

なのに、

 

走っている俺と女に

追い付きそうな速さ。

 

どういう現象なのか、

さっぱりだったが、

 

やはり恐怖が襲うばかり。

 

あと少しで

女が追いつかれそうな時、

 

一番下にある鳥居の様な

ものを潜る瞬間、

 

そいつは消えた。

 

とにかく何事もなく、

今は平和に過ごせている。

 

唯一、何かあるとしたら、

 

派手にこけた時に石が目に刺さり、

右目が失明した事ぐらい。

 

とにかく、

何よりも大切な妻に何もなく、

 

今では何よりも大切な存在となった

子供にも恵まれ、

 

幸せに暮らせている事を

本当に良かったと思う。

 

初めて恐怖を知った実話です。

 

あなたも心霊スポットには

十分に気をつけて下さい。

 

何よりも大切な存在がいるのなら、

こんな馬鹿はしないで下さい。

 

後日に分かった事ですが、

 

その祠は神社でも寺でもなく、

大昔の重罪人の供養塔らしいです。

 

(終)

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