いじめられっ子といじめっ子の突然死

教室

 

よく巷では、

 

『その話を聞いたら本当に霊が現れ、

“何か”をやらないと死んでしまう』

 

という話がありますが・・・

 

ここから先を読む方は、

全て自己責任にてお願いします。

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夢の続きは実は忘れているだけで・・・

小学生の頃の同級生に、

Kという奴がいた。

 

Kはいつもイジメられていた。

 

そしてKは昼休みになると、

 

怖い話が載っている本を

いつも読んでいて、

 

トイレの電気を消すだけで泣く、

もの凄い怖がりな奴だった。

 

ある時、「Kを怖がらせてやろうぜ!」

という話題が出た。

 

その当時、

 

学校では『不気味ちゃん』という

怖い話が流行っていた。

 

その話を聞くと、

夢に不気味ちゃんが出てきて、

 

扉がいくつもあるところに連れて行かれ、

 

正しい扉を選択して進んでいかないと

“死んでしまう”とかそんな話だった。

 

この話を実際に聞かせて、

 

みんなで本当に出たと言って

脅かしてやろうと思った。

 

しかし、Kは怖い話が好きなので、

 

この話を知っているだろうと思い、

これではダメだということに。

 

そして、みんなでKが怖がる話を作ろう、

ということになった。

 

昼休みの時間を使って、

みんなで何日も考えた。

 

こうして出来た話の内容がこれだ。

 

今までに夢を何度も見ていると思うが、

その夢の続きを見ることがある。

 

夢の続きは実は忘れているだけで、

最後には殺される夢である。

 

そして、この話を聞くと、

夢の中で殺される時に本当に死んでしまう。

 

つまり、

 

この話を聞いてから同じ夢を最後まで見たら、

現実に殺されてしまうということだ。

 

こうして、この話をKにした。

 

Kは泣きそうな顔になっていた。

 

さらに俺たちは言い足した。

 

「俺、殺される直前に起きた」

「包丁持った婆さんに追いかけられた」

「俺の友達で実際に死んだ奴がいる」

・・・・・・

 

Kはガクガク震えていた。

 

俺たちは毎日、

学校でKをからかった。

 

Kは「嘘だろ?嘘だろ?」と、

泣きそうな声を出すだけだった。

 

Kはイジメられていたので、

 

まわりのクラスメートに、

あの話は嘘だろ?と訊いても、

 

みんな「本当だ」と答えていた。

 

Kは何日も寝ていないようで、

 

目の下を真っ黒にして、

ふらついて壁にもたれながら歩いていた。

 

しばらく経った頃、

 

学校へ行くと朝のホームルームで

先生が暗い声で言った。

 

「K君が亡くなりました」

 

俺たちはビックリした。

 

元々喘息持ちで体の弱かったKは、

自宅のベッドで死んでいたらしい。

 

Kが死んで一週間くらい経った頃、

 

一緒にKをイジメていたTが、

こんなことを言い出した。

 

「Kが出てくる夢を何度も見る。

夢であいつが追いかけてくる」

 

一瞬、変な空気が流れたが、

あの怖い話を考えたのもほとんどTだし、

 

Tが俺たちを怖がらせるために

わざと言っているのだと思ったのか、

 

変な空気を断ち切るためなのか何なのか、

 

「俺も見た」

「俺も(笑)

「俺もだよ(笑)

・・・・・・

 

と口々に”見た”と言い出した。

 

俺もそれに合わせて、

つい「俺も見た」と言った。

 

Tはムキになり、

 

「本当に見たんだよ!

マジだって!マジだよ!!」

 

と、少しキレ気味に言った。

 

俺にはこれが、

 

怖がらせるための演技には

とても見えなかった。

 

他の奴らは鈍いのか、

気づいているのにわざとなのか・・・

 

その場の空気は冷め切っていた。

 

Tは泣きそうになっているように見えた。

 

Tはしつこく続けていたが、

皆避けるように相手にしたがらなかった。

 

次の日、Tが死んだ。

 

心臓麻痺で、

ベッドの上で死んでいたらしい。

 

俺たちは愕然とした・・・

 

Kの呪いだと思った。

 

次は誰が死ぬのか・・・

などと思っていた。

 

しかし、

 

何事もないまま俺たち全員、

小学校を卒業した。

 

俺はまもなくして転校した。

 

そして月日は流れ、

俺は大学生になった。

 

俺はTが死んだのは、

偶然だったと確信していた。

 

そんな時、

 

大学でのサークルの合宿に、

参加することになった。

 

合宿の最終日の夜、

 

みんなで夜に怪談話をして、

大いに盛り上がっていた。

 

俺はKの話をした。

 

みんな結構怖がっていたみたいだが、

無理して笑っていた。

 

そして次の日の朝、

Kが夢に出てきたと言う奴が3人いた。

 

3人ともチャライ奴らだ。

 

「昨日聞いたKとかいう奴が、

マジで夢に出てきて追いかけてきたぜ!?」

 

3人ともこんな感じで話している。

 

俺は笑って聞いていた。

 

3人はKの話をずっとしていた。

 

「Kはチビでキモかった」

「そんでタラコ唇だったべ」

「で、目が超細い」

 

「まじかよ!?

 

ガリガリで短パンみたいの

はいてなかったか?」

・・・・・・

 

3人ともそれぞれの夢で見たKが

同じだったと言い出したのだ。

 

まわりの奴らは3人が自分たちを

怖がらせようとしているのだと思い、

 

それを聞いて爆笑していた。

 

が、俺だけは震えていた。

 

それはまさに、

あの頃のKの姿だったからだ。

 

(終)

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