隣の部屋に越して来ると挨拶に来た女の子
これは、私が実際に体験した出来事。
ある休日に、若い女の子が引越しの挨拶に来た。
ちょうど私の部屋の隣が空いていて、またそこに越して来ると言うので、「こちらこそどうぞ宜しく。いつ越して来るの?」と聞いたら、まだ分からないと言う。
その辺は軽く受け流して挨拶は終わった。
その後、女の子は次々と他の部屋にも挨拶に回っていたので、今時律儀な人だなぁと思っていた。
このアパートには不思議現象がある
だが、1ヵ月経っても一向に引っ越して来る様子がない。
ちょうどその時期に私はアパートの更新手続きがあり、管理会社に行った時にその事を聞いてみても、そこはまだ空き部屋で入居者募集中だと言われる。
しかし、それから1ヵ月も経たない頃に、隣の部屋に誰か住み始めた。
やっぱりあの女の子だったので、不動産屋は何を言ってるんだと思っていた。
改めてその子と会った時に、私は「引越し遅かったですね」と親しみを込めて言ったつもりだったが、挨拶の時の雰囲気とは何か違い、「はぁ・・・」と暗い返事をされたのでちょっと不思議に思った。
そして、その子が隣に住み始めた直後から、何か不安なのか色々と聞いてくるのだが、その内容が変だった。
「ここって、前に何か事件とかありませんでした?」
私は新築の時から住んでいるが、特に無かったのでそう言った。
「でも、センサーライト付けてるんですけど、夜中にしょっちゅう反応するんです!テレビの電波に乗ってか、変な声が聞こえてくるし・・・」
私の部屋はセンサーライトは付けてないが、うちは何も起こっていない。
「昨日の夜、誰か来てました?ちょっとうるさくて眠れなかったんです(怒)」
いえ、誰も来ていないが・・・。
このような感じで、人の事を考えずに夜中でも部屋のチャイムを鳴らされるので、管理会社に文句を言った。
すると、周りの住民もその子に同じ事をされていたと判明した。
結局、この女の子はすぐに引越した。
「もうここには住めない」と、私に話していたのと同じような不思議現象を訴えて出て行ったようだった。
また、最初の引越し前の挨拶の件については、管理会社が資料を見せただけで「私を呼んでいる」というような事を言い出し、入居が決まっていないのに挨拶に回っていたらしい。
その女の子が出て行ってから、『ご入居者の皆様へ』と題された、アパート内に不思議現象があるから早く出て行った方がいいです、という内容の怪文書が何通も来たので管理会社にその度に伝えていた。
それはパソコンで作られたもので、直接ポストに入れていたから足がつかないと思っているのだろうが、多分その女の子の仕業だと思う。
(終)