そこに座ってテレビを見ると起こる怪現象
これは、私が小学生の頃に体験した話。
私が生まれ育った地域は田舎の山奥で、小学校も全校生徒が30人くらいの小さなところだった。
なので、1年生から6年生までみんな顔見知りで、仲も良かった。
私が4年生になった春、新しい女の先生がやって来た。
先生は若くて、みんなの人気者だった。
家を隅から隅まで掃除しなさい
先生は学校の近くにあるアパートを借りて住んでいたので、日曜日には私と友達4人くらいで先生の家によく遊びに行っていた。
田舎の山奥なので、本当に古いアパートだった。
そして、先生の家には6段の大きなタンスがあった。
聞けば、そのタンスは最初から家に付いていたものらしい。
ソファーもあった。
私はそのソファの端を特等席としていた。
座る場所がいつも決まっていた。
先生の家では、みんなでワイワイと話したりゲームをしたりして、夕方になるとテレビを見る。
しかしその時に、テレビの画面が一瞬だけ途切れる現象が起こるのだ。
それも私にだけ。
他のみんなは何ともない。
その現象が起こる時間は決まっていないが、必ず一瞬だけテレビの画面が途切れる。
私は気のせいだと思っていたが、何回もあると不思議に思い、それを先生に言ってみた。
先生は「おかしいねぇ?どこの場所?」と、冗談で済ましたりせず考えてくれた。
私は、ソファの端に座ってテレビを見ていると見えなくなる、ということを説明した。
すると先生が、「え?先生も時々それあるの・・・」と言った。
途端、私は物凄く怖くなった。
先生も怖がっており、「次の日曜日、みんなが遊びに来た時に大家さんに聞きに行こう」となった。
そして日曜日。
先生と私達は大家さんに尋ねてみた。
すると大家さんは「あぁ・・・」と言い、何か心当たりがある様子だった。
さらに詳しく聞くと、何年か前にその家に住んでいた人が近くの山で自殺したそうだ。
みんな震え上がったが、それとテレビが途切れるのと何か関係はあるの?となった。
事情を知った先生はさらに怖くなり、神主さんにお祓いを頼んだ。
そして神主さんからは、「家を隅から隅まで掃除しなさい」と言われた。
急遽、みんなで先生の家の大掃除をすることになった。
全ての引き出しや棚をキレイに掃除した。
そして最後に、6段ある大きなタンスの掃除に取り掛かった。
先生は背が低かった為、タンスの下4段しか使っていなかった。
上2段は開けたこともないという。
私達はとりあえず下4段までを掃除した。
そして椅子を使って上2段も掃除する。
5段目を終え、一番上の6段目を開けた。
すると、中から『大量の手紙』が出てきた。
埃だらけになった物凄い数の手紙がタンスの最上段に詰まっていたのだ。
それを見た先生は不思議に思い、恐る恐る全て取り出した。
そして確認すると、どうやら前にこの家に住んでいた(自殺した)人へ宛てた手紙だった。
差出人は男の人で、前の住人は女の人。
手紙は全て同じ男の人からのものだった。
彼氏だったのだろうか。
先生と私達はその手紙を神社に持っていき、再度お祓いをしてもらった。
手紙が詰め込まれていたタンスは、テレビとソファーのちょうど真ん中の位置に置いてあった。
神主さんによれば、そのタンスの前に幽霊となった女の人が立つと、ちょうどテレビとソファーの間になるのでテレビが一瞬途切れる現象が起きたのではないだろうか、ということだった。
それまで幽霊は信じていなかった私だったが、本当にいるのだと子供ながらに恐怖を感じた。
掃除とお祓いをした以降、先生の家ではテレビが途切れることはなくなった。
(終)