見覚えのある風景の先に見えたものは
これは友達の体験話になるが、内容が不可解で怖い。
社長に不幸があり、仕事が午前中で終わった日があった。
真っ直ぐ帰ってもつまらないし天気も良かったので、ドライブでもして帰るかと思って適当にグルグルと走っていたそうだ。
しばらく走っていると、なんとなく見覚えのある風景が目に入る。
小馬鹿にしたかのような明るい声
「ああ、高校の時の後輩の家がこの辺りにあって、一回だけに遊び来たなぁ」
懐かしいなと思いながら走っていると、道路の端に葬式の看板が見えた。
『中嶋家 式場⇒』
あれ?あいつ中嶋だよな?あいつの家か?
そう思いながら車を走らせていると、また『中嶋家 式場⇒』の看板。
おお、まただ。
確か、あいつの家もこの辺だ。
そう思いまた走らせていると、今度は細かく詳細の書かれた看板が目に入った。
どれどれ、と看板の横に車を寄せて見てみる。
すると、『中嶋○○が何日に逝去 喪主●●』と書いてあった。
死んだのは後輩だった。
驚いた友達は「マジか・・・」と声に出して呟いた瞬間、誰も乗っていないはずの後部座席から「あはは(笑)マジマジ(笑)」と声がした。
えっ!?と思い振り向いたが、誰もいなかった。
普通なら、その死んだ後輩の声だと思うが、それが実は「マジマジ(笑)」と言ったのは若い女の声だったそうだ。
まるで小馬鹿にしたかのような明るい声。
死んだ後輩は男だ。
その後、怖いながらも後輩の家に向かい線香をあげてきたらしい。
後から聞いた話では、その後輩の死因は自殺だったようで、原因はストーカーみたいな女に粘着されて、呪ってやるとか殺すとか書いた手紙を大量に貰い、挙句ノイローゼになって死んだとか何とか。
後部座席から聞こえたあの声、もしかしてその女のだったのかな・・・。
そう思うと何か怖い。
ちなみに、その女は生きているが、精神的にヤバくて入退院を繰り返しているという。
(終)