我が町の町長が超長期政権になったワケ
これは、祖父から聞いた我が町の町長にまつわる話。
数年前に、俺の住んでいる町の町長が「年齢的にもうキツイ」と言って任期を満了して辞めた。
辞めた町長は、まだファミコンが発売されてないような時代からずっと町長をやっていた“超長期政権”だった。
小さい町とはいえ、どうして一人の人間がそんなに長期に渡って政権を維持できたのか?
それは、任期満了で町長選挙をしようとなっても、いつも他の対立候補者が出てこないからだ。
なら、どうして候補者がいないのか?
それは、たまに立候補する人が出ると、何故かその立候補した本人や身内、支援者に不幸が訪れるからだ。
具体的には、『候補者自身が交通事故で障害が残るほどの重症を負う』、『候補者の身内が謎の転落死をしたり突然行方不明になる』、『支援者の店が謎の出火をする』、『支援者の会社の社用車のタイヤが全てバーストする』等。
ただそれだけだと、辞めたくない現任町長が暴●団などを雇って候補者に嫌がらせをしていると感じるかもしれないが、もちろん他にもある。
『立候補者が衆人環視の中、十数匹程の野生のトンビに襲撃され重症を負う』、『立候補者宅に雷が直撃し全焼する』、『立候補の息子(30)が突然発狂して入院する』、『雪が少ない年に立候補者の支援者の工場だけにピンポイントで積雪や暴風が起こり、工場が(物理的に)潰れる』等。
祖父曰く、「2つの意味でツイテいる」と。
ちなみに町長としては優秀だったらしく、彼の任期中に村から町になったり、世界的有名企業の誘致で税収や人口が文字通り桁違いになったりもしている。
(終)