ヒッチハイク中に出会ったキャンピングカー 3/7

双子のオッサン達は

相変わらず無口で、

 

今度は棒付きのペロペロキャンディを

舐めている。

 

「これ、マジでヤバイだろ」

 

と、カズヤが小声で囁いてきた。

俺は相槌を打った。

 

しきりに父と母が話しかけてくるので、

中々話せないのだ。

 

一度、父の言葉が聞こえなかった時など、

「聞こえたか!!」

と、えらい剣幕で怒鳴られた。

 

その時、双子のオッサンが

同時にケタケタ笑い出し、

 

俺達はいよいよヤバイと確信した。

 

キャンピングカーが国道を逸れて

山道に入ろうとしたので、

流石に俺達は立ち上がった。

 

「すみません、本当にここで。

ありがとうございました」

 

と運転席に駆け寄った。

 

父は延々と、

「晩餐の用意が出来ているから」

と言って聞こうとしない。

 

母も、

「素晴らしく美味しい晩餐だから、

是非に」

と引き止める。

 

俺らは小声で話し合った。

いざとなったら逃げるぞ、と。

 

流石に走行中は危ないので、

車が止まったら逃げよう、と。

 

やがてキャンピングカーは山道を

30分ほど走り、

 

小川がある開けた場所に停車した。

 

「着いたぞ」と父。

 

その時、キャンピングカーの一番後部のドア

(俺達はトイレと思っていた)から、

 

「キャッキャッ」と、

子供の様な笑い声が聞こえた。

 

まだ誰かが乗っていたか!?

その事に心底ゾッとした。

 

「マモルもお腹空いたよねー」と母。

 

マモル・・・家族の中では唯一、

マシな名前だ。

 

幼い子供なのだろうか。

 

すると、今まで無口だった

双子のオッサン達が口を揃えて、

 

「マモルは出したら、だぁ・あぁ・めぇ!!」

と、ハモりながら叫んだ。

 

「そうね、マモルは

お体が弱いからねー」と母。

 

「あーっはっはっはっ!!」と

いきなり爆笑する父。

 

「ヤバイ、こいつらヤバイ。

フルスロットルだ!!!」

(カズヤは、イッてるヤツや危ないヤツを

常日頃からそういう隠語で呼んでいた)

 

俺達は車の外に降りた。

 

よく見ると、男が川の傍で

焚き火をしていた。

 

まだ仲間がいたのか・・・と、

絶望的な気持ちになった。

 

異様に背が高く、ゴツい。

2メートル近くはあるだろうか。

 

父と同じテンガロンハットの様な

帽子を被り、スーツという、

異様な出で立ちだ。

 

帽子を目深に被っており、

表情が一切見えない。

 

焚き火に浮かび上がった、

キャンピングカーのフロントに描かれた

十字架も、何か不気味だった。

 

ミッ○ーマ○スのマーチの

口笛を吹きながら、

 

男は大型のナイフで、

何かを解体していた。

 

毛に覆われた足から見ると、

どうやら動物の様だった。

 

イノシシか野犬か・・・

 

どっちにしろ、そんなモノを

食わさせるのは御免だった。

 

俺達は逃げ出す算段をしていたが、

予想外の大男の出現、大型のナイフを見て、

萎縮してしまった。

 

「さぁさ、席に着こうか!」と父。

 

大男がナイフを置き、

傍でグツグツ煮えている鍋に

味付けをしている様子だった。

 

「あの、しょんべんしてきます」

 

とカズヤ。

 

逃げようと言う事だろう。

俺も行く事にした。

 

「早くね~」と母。

 

俺達はキャンピングカーの横を通り、

森に入って逃げようとしたその時、

 

キャンピングカーの後部の窓に、

 

異様におでこが突出し、

両目の位置が異様に低く、

 

両手もパンパンに膨れ上がった

容姿をしたモノが、

 

バン!と、

顔と両手を貼り付けて叫んだ。

 

「マーマ!!」

 

もはや限界だった。

 

俺達は脱兎の如く、

森へと逃げ込んだ。

 

後方で父と母が何か叫んでいたが、

気にする余裕などなかった。

 

「ヤバイヤバイヤバイ」

 

とカズヤは呟きながら、

森の中を走っている。

 

お互い何度も転んだ。

 

「とにかく下って県道に出よう」と、

小さなペンライト片手に、

 

がむしゃらに森を下へ下へと

走っていった。

 

考えが甘かった。

 

小川のあった広場からも、

町の明かりは近くに見えた気がしたのだが、

 

1時間ほど激走しても、

一向に明かりが見えて来ない。

 

完全に道に迷ったのだ。

 

心臓と手足が根をあげ、

俺達はその場にへたり込んだ。

 

「あのホラー一家、

追ってくると思うか?」

 

とカズヤ。

 

「俺達を食うわけでもなしに、

そこは追って来ないだろ。

 

映画じゃあるまいし、ただの

少しおかしい変人一家だろう。

 

最後に見たヤツは、ちょっと

チビりそうになったけど・・・」

 

「荷物・・・どうするか」

 

「幸い、金と携帯は身につけてたしな・・・

服は、残念だけど諦めるか」

 

「マジ、ハンパねぇw」

 

「はははw」

 

俺達は精神も極限状態にあったのか、

なぜか可笑しさが込み上げてきた。

 

(続く)ヒッチハイク中に出会ったキャンピングカー 4/7へ

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