心霊スポットと言われる地下に行ってから 2/4

発車して間もなく、 

私は自分の足元が、

 

誰かに掴まれているのに

気がつきました。

 

後部座席は端から

私、友人、先輩Aの彼女となっており、

二人とも両手は見えていました。

 

私は総毛立ちましたが、

ええ?このタイミング?とも考え、

ちょっと可笑しくなりました。

 

私は、夏場なので

膝までのパンツだったこともあり、

直に足を掴まれていました。

 

掴まれているというより、 

その手は思い切り爪を立てて、

 

食い込ませるように、

痛みを与えてきました。

 

しかし、私が騒ぐことによって

車中がパニックとなり、

 

事故を起こすのが狙いかな、

とも考えました。

 

私は、なんかありそうな

聞いた事あるような話しやな、

 

と思いながら

必死に平静を装い、

 

また、一番見られてはいけない

隣にいる友人に気づかれないよう、

 

前のめりに座って、

影で隠していました。

 

山を降りる手前辺りで、

その掴む手の感触がなくなり、

 

ガソリンスタンドに寄った後、 

先輩Aの彼女が、

 

「ミニストップでポテトが食べたい」

 

と言い出したので、

寄る事にしました。

 

私は皆が車を降りた後、

先輩Aだけこっそりと呼び、

 

他の3人と違う場所に移りました。

 

先輩Aは「どないしたん?」

と聞いてきて、

 

私は「危なかったでぇ~」

と息をつきました。

 

よく分からないという表情の

先輩Aに、

 

正体不明の手の爪による

血の滲んだ足を見せ、

 

「降りる時に足掴まれてた」

 

と言うと、先輩Aの顔は、

正に真っ青になっていました。

 

先A「マジか?自分でやったとか

じゃないんか?」

 

と聞いてきましたが、 

私は綺麗に切った爪を見せ、

 

「こんな爪でどうやって

そんな痕つけれんねん。

まあどっちでもええけど焦ったわ~」

 

と答えました。

 

先A「お前、なんで黙ってんのん。

そん時、言えよ!!」

 

「そんなもんお前、

言うたらパニックになって

事故るかもしれへんやないか」

 

先A「あ~・・・そうか」

 

「ナイス判断やろ」

 

先A「おお」

 

(友人)(彼女)には言うなよ。

トラウマなるで」

 

先A「分かってるけど俺にも言うなよ。

怖いわ~・・・」

 

「いや、誰かに言いたいやんか、

やっぱり」

 

等と言うやりとりをした後、

 

他の3人に黙ったまま買い物を済ませ

友人宅に戻り、

 

私はすぐ自宅に戻ることにして

解散しました。

 

家に戻る事にした私は、

ドアの鍵を開けて部屋に入りました。

 

当時私は、

ワンルームマンションの部屋に

住んでいたのですが、

 

ドアを開けてすぐに、

部屋に誰かがいるのが見えました。

 

坊主頭にかなりの猫背で、

ジャージ姿の男でした。

 

私の部屋は4階だったこともあり、

 

すぐに逃げられるのは

私を押し退けてドアから出るしかない、

という考えもあり、

 

その場から動かず「空き巣?」

と、声をかけました。

 

男は振り向きませんでした。

 

「じゃ 幽霊?足あるけど」

 

と、声をかけても

振り向きませんでした。

 

しばらく見ていましたが、

彼はぴくりとも動きませんでした。

 

仕方なく私が、

 

「どっちでもええけど、

土足やめてや」

 

と言いながら近づくと、

 

彼はベランダの方に静かに歩いて、

私と距離をとりました。

 

私は「なんだこいつ」と思いつつも、

両手に刃物等は持ってなかったようなので、

 

「盗るもんなんかなんもないし、

警察も呼ばへんから、

とりあえず出て行ってよ」

 

と、ベッドに腰を下ろして

男に言いました。

 

それからしばらく

男をじっと見ていましたが、

 

微動だにせず何も言いません。

 

「しゃあないから叩き出すよ」

 

と、声をかけても

反応しませんでした。

 

しかし、ふと私が掛け時計に目を向けて

彼に向き直ると、

 

彼はこちらに顔だけ向けて、

私と初めて目を合わせました。

 

目は小さく斜視が入っている感じで、

団子鼻、口は少しだけ開いている。

 

私はその顔つきに、

何か普通の人とは違う違和感を

覚えました。

 

彼は若干睨む様な

そうでないような感じで、

こちらをじいっと見て、

 

私も彼を真っ直ぐに

目を逸らさず見ていました。

 

4階なうえに、

鍵もかかっていたままだったので、

 

この世のものではないという

考えもありましたが、

 

幽霊にしては、

はっきりしすぎているというか、

生気がある感じがしたので、

 

私は8割『普通に家に入り込んだ人間』

という風に彼を捉えていました。

 

私は立ち上がって、

 

彼を見た時の違和感をそのまま

口に出して言いました。

 

「知的障害かなんかの子かな・・・?

怒らんから、出て行こう。ほら」

 

そう言って彼の腕を掴むと、

その感触は異様でした。

 

どっしりと中身の詰まった

ダンボールのような感触で、 

気味が悪いものでした。

 

すると彼は少し振り払うように腕を動かし、

私はその感触もあってか手を離すと、

 

とぼとぼと玄関の方へ歩いて行き、

ドアを開けて出て行きました。

 

私もすこし待って、

下のマンションの玄関あたりを

観察しようと思いドアに向かうと、

 

部屋とドアの間にあるトイレのドアが、

ドォン!!!と激しい音を立てました。

 

私は少し警戒しながら

トイレのドアを開けましたが、

 

誰もおらず、

いつもと変わらぬ光景でした。

 

(続く)心霊スポットと言われる地下に行ってから 3/4へ

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