叔母の死期が近づいた時

病室

 

怖い話というより予兆。

 

5~6年前、

A県立病院に叔母が入院していた。

 

末期のガンだった。

 

俺の母いわく、

 

その時にはもう治らないと、

医者から言われていたらしい。

 

死ぬだけの弱っていく人間を

見てるのはすごくツライもので、

 

仲が良いと尚更見舞いにさえ

行きたくないくらいに。

 

死ぬのを見たくなくて。

 

そういうこともあって、

 

叔母の死期が近いというのに、

俺は見舞いにすら行かなくなった。

 

だけど不思議な事があったその日、

 

なぜか行かなくちゃならないと思い、

その日に限って見舞いに行った。

 

会ってからは別段何も無く、

 

痩せたな・・・

弱ったな・・・

 

そう思う程度だった。

 

帰り際、俺は叔母に、

 

「さよなら」

 

と言って帰って来た。

 

「バイバイ」とか「またね」じゃなくて、

「さよなら」と。

 

意図は無い。

 

ただなぜかそう言った。

 

もう会えない気がして。

 

その数日後、

叔母が亡くなった。

 

今思うと、

虫の知らせというやつなのかな・・・

 

叔母が最後に俺を呼んだのかな・・・

 

そもそも俺は、

なぜ叔母にさよならと言ったんだろう・・・

 

色々と思う事がある。

 

(終)

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