ボロボロの廃屋と老人の奇妙な夢

廃屋

 

父方の祖母の家は山間部にあって、

 

住宅地っぽい一画は

それなりに開けているが、

 

それ以外の場所は普通の山と

なんら変わらない状態。

 

その住宅地と山間部の境に、

廃屋があったんだ。

 

俺はその廃屋に向かって歩いていた。

 

(あぁ、そうそう。

 

子供の頃に兄弟や従兄と

探検しに行ったよなぁ)

 

と幼年時代を懐かしく思いながら。

 

しばらく歩くと、廃屋に到着。

 

俺の子供の頃でさえ、

ボロボロだったその家は、

 

あれから20年を経て、

今にも朽ち果てそうだった。

 

さすがにいい歳して廃屋に入る

気にはなれなかったので、

 

ひとしきり子供時代の感慨に

ふけったところで、

 

帰ろうと廃屋に背中を向けた瞬間、

 

「何をしに来た」

 

と、しわがれた声。

 

え?と思って振り向くと、

 

さっきは気付かなかったが、

廃屋の中に人が立っている。

 

パッと見ても、

 

男か女かもわからないほど

歳を取った老人が一人。

 

ボロボロの服を着て、

腰も大きく曲がり、

 

相当な高齢だと一目でわかった。

 

それよりも何よりも、

異様だったのが目つき。

 

それほどの高齢なのに、

目つきがやけに鋭く、

 

蛇に睨まれたカエルのように一瞬、

身動きが取れなかった。

 

(うわ、こえぇ)

 

そう思った瞬間、

目が覚めた。

 

そんな夢を見たことも、

すっかり忘れた1ヶ月くらい後のこと。

 

祖母が亡くなった。

 

享年93歳。

 

これだけ長生きしていれば、

 

葬儀といっても

そこまで湿っぽい感じにはならず、

 

集まった親戚一同は

各々近況を報告しあったり、

 

思い出話に花を咲かせたりしていた。

 

そのうち、

叔父に呼び止められた。

 

「なぁ、○○くん。

タバコ買ってきてくれ」

 

そう言って、

俺に千円札を渡してきた。

 

「それはいいけど、

このあたりに自販あったっけ?」

 

「5分ほど歩いたところにあるわ。

ほら、ちょうど小学校の裏手あたり」

 

簡単に道を説明されて、

俺はタバコを買いに行った。

 

時刻は夕方で、

 

真っ暗というほどではないが、

辺りは薄暗くなっている。

 

タバコを無事に買えたのは

良かったんだけど、

 

暗い上に、

あまり目印になるようなものが無いせいで、

 

帰り道を間違えて、

俺は件の廃屋の前に出てきてしまった。

 

子供の頃に探検しに来たことを思い出して、

一瞬懐かしくなった。

 

が、それも束の間、

 

俺は先日に見たあの夢を

思い出してしまった。

 

(あの時は、変な年寄りが

急に現れたんだよなあ。

 

あー、やだやだ)

 

急に不安になって、

 

思わず目の前の廃屋を凝視して、

人影が無いかを確認してしまう。

 

だが当然というか何というか、

人影は無かった。

 

ほっとして、

 

来た道を引き返そうと、

廃屋に背中を向ける。

 

その時、

ガタッ、と背後で音がした。

 

音の位置からして、

明らかに廃屋が発信源。

 

飛び上るほどビックリして、

 

後ろも振り返らずに俺はその場所から、

ダッシュで逃げ出した。

 

全力疾走で帰ってきた俺に、

親戚の人たちは驚いていたが、

 

さすがに事情を説明も出来ず、

 

最近運動不足だから走ってみたと、

ごまかして流した。

 

学生時代はサッカーをしていたおかげで、

言い訳もあまり不審がられずセーフ。

 

少ししてから、

思い出話をよそおって、

 

昔一緒に探検した地元の従兄に

廃屋のことを聞いてみたら、

 

「あー、もう取り壊されたな。

何年か前に。

 

一時期はホームレスが住み着いて、

みんな困ってたから。

 

でも追い出すわけにもいかんやろ。

 

そのホームレスが亡くなった時に、

今後こういうことがないように壊してん」

 

(え・・・うそだろ・・・)

 

思わず絶句して、

何も言えなかった。

 

次の日、

 

火葬場に行く道すがら、

従兄が声をかけてきた。

 

「ほらほら、あそこ。

あそこが廃屋のあったところ」

 

そう言って、

更地を指差している。

 

位置からして、

 

昨日の晩に俺が迷い込んだ場所に

間違いはなかった。

 

その後、従兄をはじめ、

 

地元の人にそれとなく

探りを入れてみたけれど、

 

あの場所で心霊体験とか、

そういう噂も特にないらしい。

 

なんか腑に落ちない俺の体験だ。

 

ちなみに、

夢で見たあの老人が、

 

亡くなったホームレスなのかは

確認していない。

 

もしそうだったら怖すぎるので・・・

 

(終)

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