道端に落ちていた小判を拾ってきたが
これは、未だに自分の中では謎になっている実話。
俺は小学6年の頃、学校帰りの通学路で『仏像が書かれた小判のようなもの』を拾った。
小学生くらいの年頃の男子といえば、道端に落ちているものをなんでも拾ってしまう。
例えば、輪ゴムとか針金とか。
あの時に捨てたはずの小判が
俺はその小判のようなものを拾って家に持ち帰り、少し汚れていたのでよく洗って机の上に置いた。
そして夜ご飯を食べてから自分の部屋に戻り、ふと拾ってきた小判を眺めていた。
その時に気付いたのだが、その小判は売り物ではなく誰かが手作りした感じで彫られていて、不気味な仏像の絵の裏を見ると、なぜか自分と同じ誕生日の生年月日が彫られていた。
あまりの不思議さに、それは今でも印象に残っている。
それ以降もずっとその小判を机の上に飾って置いていたのだが、ある日に母親が部屋の掃除をした時にその小判を見つけたらしく、「落ちてるのを拾ってくるな。不気味だから捨ててきなさい」と怒られた。
仕方ないからと、俺はその小判を部屋の窓から外に投げ捨てた。
そして、それから2ヶ月くらい経った頃だった。
これが未だに謎になっている部分になる。
それは大晦日の大掃除の時の事。
俺の部屋は兄貴と共同で使っていて、机を向かいに二つ並べて置いてあったのだが、その隙間の掃除をしていたら、なぜかあの時に捨てたはずの小判が落ちていた。
しかも、その小判には長い髪の毛が何本も絡み付いていた。
毛根まで付いていた覚えがある。
ちなみに、その長さは母親の髪の毛よりも随分と長かった。
俺は気持ち悪くなり、すぐさま再び外に投げ捨てた。
それからは二度と小判を見ることはなかった。
普段は幽霊とかそういったオカルトの類は信じないが、この体験だけは今でもよく分からない。
あれは何だったんだろうか。
(終)