ばあちゃんは駅の未来を見ていた!?
これは、俺のばあちゃんが体験した不思議な話。
10年前に亡くなった母方のばあちゃんが、25年くらい前に我が家へ遊びに来た時のこと。
当時の俺は7~8才。
ばあちゃんの家(母の実家)は富山にあって、まず東京に出てから、中央線で我が家の最寄り駅まで来るのがいつものパターンだった。
しかし、いつもは駅まで父か母が迎えに行くのだが、その時はたまたま都合が悪くて、ばあちゃんは駅からタクシーで我が家までやって来た。
その晩、ばあちゃんが持って来てくれた鱒寿司を食べながら話をしていた時、ばあちゃんが「○○駅(家の最寄り駅)の名前、変わったんだね」と言い出した。
ちなみに、駅の名前は昔から変わっていない。
しかし、車内アナウンスも駅のホームの表示も『△△駅』という名前になっていたとのこと。
別に不自然な名前でもないから、「ああ、変わったんだね」としか思わなかったと。
結局その時は「勘違いだったんだよ」とそのまま話は流れて、俺もすぐに忘れてしまった。
それから数年後、俺が中学校に上がる頃、それを思い出すことになる。
最寄り駅の名前が、昔にばあちゃんが言っていた『△△駅』に改名されたのだ。
すぐさま、ばあちゃんに電話をかけて、そのことを伝えた。
すると、「不思議なこともあるんだねぇ。キツネに化かされたかしら」なんて言って笑っていた。
ばあちゃんは特に霊感があったり予知能力があったりということはなく、長い人生の中でこれが唯一の不思議体験だったそうな。
(終)