あるTV局の人形にまつわる話 2/2

(前編)あるTV局の人形にまつわる話 1/2

 

人形使いの前野さんのいとこの方が変死して、

それを知らせる電話がかかってきた日から、

舞台稽古中の彼等に、

次々と怪奇現象が襲いかかってきました。

 

舞台衣装の入れたカバンやタンスに

水が溜っていたり、突然カツラが燃えたり、

右手右足を怪我をする人が

続出したりしたのです。

 

『呪女十夜』の公演の初日を迎えました。

 

が・・・公演開始数時間前に、

出演者が次々に倒れてしまったのです。

 

喋る事は出来るのですが、

金縛りのようになって

身体が動かないのです。

 

初日は、昼と夜の2回公演だったのですが、

昼の公演はやむなく中止。

 

初日で関係者の方が多かったので、

昼と夜の部を一緒にしてもらう事にしました。

 

「とにかく、お札を集めよう」

 

彼等は近くの神社やお寺をまわり、

あらゆる種類のお札を持ってきて、

控え室に貼ってみました。

 

効果があったのでしょうか?

なんとか夜の部の舞台を、

始める事が出来ました。

 

やはり、公演中にも次々に

怪奇現象が起こりました。

 

人形が涙を流し、

居るはずない黒子がもう一人居たり、

そして、突然人形の右手が

「ビシッ!」と吹き飛んだのです。

 

パニックになりそうになりながらも、

出演者達は演技を続けました。

 

人形を棺桶に入れるラストシーンを、

なんとかむかえる事ができました。

 

が・・・棺桶に人形を入れた途端に底が抜け、

人形の首、腕、足が千切れてしまったのです。

 

ドライアイスを焚いたような

謎の冷気をもった白い煙が、

舞台一面に広がり、

夏だと言うのに信じられない冷気に、

会場が包まれました。

 

幽霊が怖いからって、

途中で舞台を

投げ出すわけには行かない。

 

稲川氏達は恐怖におののきながらも、

決められた最終日まで、

なんとか舞台公演を続けるのでした。

 

なんとか無事に、

全ての公演日数を終了出来ました。

 

もう二度とこの劇はしたくないなぁ・・・

全ての劇団員達はそう思っていました。

 

当然、稲川氏も同じ気持ちでした。

 

しかし、最終公演を終え、

打ち上げをしている稲川氏達に、

劇場からとんでもない依頼が入ります。

 

・・・追加公演をしてくれ。

 

次にここでやる事になっていた舞台が、

突然中止になったのです。

 

・・・だから、今やっている舞台を、

追加公演してもらえないかと。

 

スタッフと出演者達は大反対!

 

しかし、人形使い前野さんの

異常なほど強い希望により、

追加公演をする事になるのでした。

 

前野さんのお父さんが急死されたのが、

その次の日でした。

 

舞台がなんとか無事に終了した数ヶ月後、

この話をTBSの番組『3時にあいましょう』

が聞きつけて、

怪奇シリーズで放送する事になりました。

 

人形使いの前野さんが、

あの人形を保管していました。

 

番組撮影のために

人形を持って現れた前野さんは、

少しおかしくなっていそうです。

 

その人形を、

まるで生きているかのように

話し掛けていたり・・・

 

やはり、怪奇現象が起こりました。

 

まずは、番組リハーサル中に、

照明用のライトが落ちてきた。

 

そして生放送の番組中には、

人形の上に、後ろに吊っていた

カーテンが突然切れて被さり・・・

 

女性スタッフ達は恐怖で泣き出して、

まともな番組にはなりませんでした。

 

その後、その番組のスタッフ達に

怪我をする人が続出し、

この番組の関係者達はバラバラと、

TV局を辞めていったそうです。

 

今度は、その話を聞いた

テレビ東京のスタッフが、

その話を番組にしようと、

行方不明になっていた人形制作者の

橋本三郎氏を見付けだします。

 

稲川氏は、本当はこの番組に、

前回の事があったので

協力したくなかったのです。

 

もう、あの人形とは関りたくなかった。

 

しかし、行方不明になっていた

橋本三郎氏が見つかったと言うことで、

しぶしぶ了解したのでした。

 

橋本三郎氏は、なんと京都の山奥で、

仏像を彫っていました。

 

スタッフ達は、

橋本氏に会ってインタビューを撮ろうと

京都に向かうのですが、

インタビュアーの小松方正さんと手違いで

京都で会えなくなるわ、

スタッフもバラバラになるわで、

結局、インタビューは

撮れなくなってしまうのです。

 

日を改めて、今度はスタッフだけで

インタビューを撮りに行くのですが、

今度は、デレクターの奥さんが

原因不明の病気で顔が腫れあがったり、

切符を手配した人の子供さんが

交通事故にあったり、不幸な事が続出。

 

スタッフ達も、

いい加減気味悪がったのですが、

とにかく番組を完成させるために、

稲川氏をスタジオに呼んで、

インタビュー撮影をする事になりました。

 

が、稲川氏のインタビューを

撮影しようとすると、

ビデオカメラが次々に壊れたそうです。

 

3台目が壊れたので、しょうがないから

16ミリフィルムのカメラで撮影しようと・・・、

「これは、ある人形にまつわる話で・・・」

と稲川氏が語りだすと、

本番中なのにスタジオのドアを

おもいっきり叩き続ける音が。

 

ドアを開けるが、

そこには誰もいませんでした。

 

京都での取材やらなんやらで、

かなり制作費を使っていたのですが、

これはほんとにヤバそうだからと、

結局その番組制作は中止になりました。

 

今でもこの時の映像は、

テレビ東京倉庫に眠っているようです。

 

流石に稲川氏も恐くなり、

人形を持って

知り合いの霊能者に相談に行きます。

 

「・・・なんかいやな予感がするよ。

・・・見たくないね」

 

と言う霊能者に、

布に包んだままでいいからと、

無理に頼み込み

霊視してもらうのですが、

布に包まれた人形を持った途端に、

顔色が青くなる霊能者。

 

「この人形は生きているよ。

それもたくさんの女の怨霊が憑いている・・・

取り憑いている中でも

強いのが女の子の霊で、

戦前に赤坂にあった青柳って料亭の

七歳の女の子・・・

この子、空襲で右手と右足が飛んでますよ。

・・・これにはお対の人形がいますね?

このまま放っておくと、

その人形にも憑きますよ。

早くお寺に納めた方がいい。

これは下手に拝むと襲われる・・・

いいですね。

お対の人形と一緒に、

お寺に納めるのですよ」

 

しかし、その後すぐに、

その霊能者は謎の死をとげるのです。

 

(終)

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