授業中に自らの首を絞める女子生徒
これは、私が中学生の時の体験談。
ある日、クラスメートの山村さん(仮名)が突然、体育の授業中におかしくなりだした。
山村さんは、なわとびを使って自分の首を絞めていた。
その場にいた先生やクラスメートが彼女の首のなわとびを引き剥がし、ほっぺたを叩くと正気に戻った。
曰く、「その間の記憶はなかった」ということだった。
それから1週間の間、山村さんは1日に何回も、手で自分の首を絞めていた。
それも、授業中に突然そうなるので怖かった。
もちろんクラス全員がそれを見ているので、放置するということはなくすぐに止めれていたが、「助けて・・・」と彼女の口から弱々しく漏れることもあった。
一度だけそんな状況の時の彼女と目が合ったことがあったが、あれは“生きている人間の目ではない”と感じた。
国語の時間、英語の時間、社会の時間・・・、関係なくそれは起こった。
やはりその間も、山村さん曰く「記憶はない」ということだった。
ある日の音楽の時間に、山村さんと同じ列に座っていた女子数人が揃って突然悲鳴を上げた。
聞くと、「首の後ろに冷たいものが通った」と口々に言う。
とっさに、クラスみんなが「まさか・・・」と思って山村さんの方を見た。
すると、山村さんは突然立ち上がり、「旧校舎に行く」と言って教室を出ようとした。
音楽の先生は年配女性だったので、男子数人で山村さんを無理やり止めた。
だが、彼女は物凄い力で抵抗した。
彼女の制服が脱げそうになるくらい無理やり引っ張ってなんとか止めた、という感じだった。
そんなことがあってから、山村さんはしばらく学校を休んでいた。
私たちクラスメートはもちろん興味津々。
先生に、「山村さんは今どうしてるの?」、「旧校舎で首吊りがあったって本当?」と、立て続けに質問をしていた。
山村さんは数日後、無事に登校してきた。
曰く、御祓いをしてもらったそうだった。
そして休む前の音楽の時間の件に関しても、やはり何一つ覚えていなかった。
ただこれ以降、こんなことが起こることはなかった。
後日に先生は、「旧校舎では何も起こらなかった」とも言っていた。
後日談
件の出来事からずっと後に聞いた話によれば、山村さんには『狐が憑いていた』ということらしかった。
そしてその後しばらくは、旧校舎へ探検に行く男子生徒が絶えなかった。
※縊鬼(いき)|参考
中国または日本の妖怪。人に取り憑いて首を括らせるとされる。(Wikipediaより引用)
(終)