叔父の家に泊まった時に

一昨年の秋、

叔父が亡くなりました。

 

通夜が終り、

 

うちの家族は叔父の家に

泊まることになっていたのですが・・・。

 

自分は仲の良い親戚の兄ちゃんと

久々に会ったので、

 

兄ちゃん達が泊まる方の、

もう一つの叔父の家に、

 

付いて行くことにしました。

 

叔父の家は、遠く離れた古い家と

新しい家があります。

 

自分が泊まったのは古い方です。

 

叔父が元気だった頃に

住んでいた家なので、

 

自分達には馴染の深い家です。

 

着いた頃には

すっかり真夜中でしたので、

 

周りが林で囲まれた家は、

ちょっと不気味でした。

 

「懐かしいけど・・・気味悪いな・・」

 

兄ちゃんがそう呟くと、

ますます不気味に見えました。

 

他の親戚は、着くなり

すぐ寝てしまいましたが、

 

自分達は従弟も混ぜて男3人、

くだらない話をし続けていました。

 

すると従弟が、

 

「さっきから階段を上り下りしてんの誰?」

 

「知らん。誰か便所でも行ってんだろ」

 

と兄ちゃんが気にもせず言い、

自分も気にしてませんでした。

 

しばらくして、

 

「まだ誰か階段にいるのか?」

 

兄ちゃんが突然言ったので、

一瞬ビックリしました。

 

確かに、耳を澄ますと階段の

上り下りする音が聞こえます。

 

「誰?」

 

兄ちゃんが戸を開けて、

軽く叫びました。

 

「誰もいねぇわ。気のせいだべ」

 

そう言うと、戸を閉め、

また話しを続けていました。

 

しかし、

 

階段の音が気になり始めたので

話しを一旦やめ、

 

音に聞き耳を立ててみることにしました。

 

トトトントンットントントトンットン・・・

 

音に集中して初めて、

 

階段の音が一定のリズムではない事に

気が付きました。

 

まるで、子供が遊んで

下りてる時の音です。

 

その瞬間、

体中の毛が逆立ちました。

 

他の2人も恐怖を感じたのか、

目を丸くしたまま動きません。

 

「これ階段の音だよね?」

 

と自分が聞くと、

 

「うん・・・」

 

と従弟、すると、

 

「誰よ!」

 

兄ちゃんが叫びました。

 

返事もなく、

階段の音が続きました。

 

トンットトントンットントントンットントトン・・・

 

怖がってるのと誰も話さないせいで、

さっきより大きな音で聞こえます。

 

一旦気になると、

耳から離れません。

 

3人とも何も出来ず、

そのままでいました。

 

あんな恐怖の包まれた時間、

二度と過ごしたくありません。

 

いつの間にか、音も消えていて

朝になっていました。

 

従弟は寝ていました。

 

起きていた兄ちゃんと、

 

「あれは何だったのか?」

 

と話し合っていると、

 

他の親戚が起きたようなので、

安心して下の階へ降りていきました。

 

兄ちゃんが階段を下りようとした時、

ふと止まりました。

 

階段には子供の靴が二つ・・・。

 

(終)

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