霊を見る方法を試してみたら 2/2

全員で目を瞑り、

 

花が供えてある場所に向かって

両手を合わせ、

 

いちにのさんで同情する。

 

俺はカセットを録音状態にして、

足元に置いている。

 

全員両手を合わせ、

身動きしない。

 

辺りからは虫の鳴き声と、

 

時々吹く風にそよぐ

葉の音以外は

 

何も聞こえて来ない。

 

目を瞑りながら、

 

「○○さん(名前は調べてあった)

頼みますから出て来ないで下さい」

 

と一心不乱になって

祈っていた。

 

俺は、

 

冗談じゃない、

幽霊なんて見てたまるか、

 

と思っていた。

 

あれほど見たがってたのに、

いい気なものである。

 

しばらくそうしていると、

 

一瞬、周りの空気が

変わったような気がした。

 

密度というか、

濃さというか・・・

 

そして、

口の中がおかしい。

 

妙にきな臭いような、

錆び臭いような感じになってきて、

 

これは恐怖で喉が

カラカラになったに違いない、

 

あるいは、

貧血の前触れかも・・・

 

などと、

あれこれ考えていた。

 

すると、

 

K「あぅっ!わわわぁ!」

 

と声にならない

叫びがあがった。

 

「ど、どうした?!」

 

俺は飛び上がり、

他の連中を見た。

 

Kが座り込んで、

 

口を大きく開けたまま

前方を凝視している。

 

見ると、

女が仰向けに寝転がって、

 

首だけ起こして

こちらを見ている。

 

俺は頭が真っ白になった。

 

まるで映画のワンシーンを

 

スローモーションで見ている感じ

とでも言おうか。

 

「あぎゃーっ!」

 

転げるように

その場から逃げ出し、

 

元来た道を

めちゃくちゃに走った。

 

前方をDとSが

走ってるのが分かった。

 

(あれ、Kは?

それにカセットを忘れた)

 

信じてもらえないかも

知れないが、

 

大パニックの最中に、

俺はそんなことを考えていた。

 

そして後ろを見ると、

 

さっきの場所に

Kがまだいるのが見えた。

 

(ヤバイ!)

 

俺は引き返し、

カセットをひったくると、

 

座ったままのKの頭を

ボカッと殴った。

 

女の方を睨み付けるように

見ると、

 

さっきの体勢のままだったが、

体の輪郭がきらきらし始めて、

 

体は、しゃぼん玉のように

消えてしまった。

 

俺は呆然としているKを

引っ張っていく道すがら、

 

出て来くるなと言ったのに

出て来やがって・・・

 

という怒りで一杯だった。

 

もちろん、今から思えば

非常に身勝手なのだが、

 

その時はそう思ってた。

 

先輩の車まで来ると、

 

DとSが狂ったように

手招きをしてる。

 

D「早く来い!」

S「何してる!逃げるんだ」

 

猛スピードで車を走らせている

先輩に一部始終を話すと、

 

マジかよ・・・と顔を強張らせ、

しきりにバックミラーを覗く。

 

Kによると、

 

一瞬、腰が抜けて

動けなくなり、

 

その間ずっと、あの女と

目が合っていたらしい。

 

車中、全員で目撃したことを

言い合い、

 

間違いなく一致していることを

確認した。

 

あれは、やはり

幽霊だったのだ。

 

殺された女の霊が

出て来たのだ。

 

そう考えるのが一番自然だ。

 

そう結論付けた。

 

翌、日曜日。

 

俺たちはKの家に集まって、

Yを待っていた。

 

昨日の出来事を全部話し、

 

幽霊が見れるYに

判断してもらおう、

 

というわけだ。

 

しばらくしてYがやって来た。

 

俺たちを見て、

どこか沈んだ顔をしている。

 

昨日の一部始終を話すと、

やっぱりな・・・と言った。

 

Y「なんか嫌な予感がしてたんだ。

本当にやっちまったんだ」

 

K「お前が言い出しっぺ

なんだからな」

 

Kが毒づく。

 

Y「いくらなんでも強姦されて

殺された女なんて・・・」

 

K「お前言っただろ、

この世に未練がある奴って」

 

Y「で、同情したのか?」

 

K「ああ、当たり前だ」

 

「俺は出て来るなと念じた」

 

D「俺もだ」

S「俺も」

 

「あれはやっぱり幽霊か?」

 

Y「ああそうだよ、

間違いないね」

 

K「俺はあの女と見つめ

合っちゃったんだからな」

 

Kが弱々しく笑った。

 

Y「今、お前の肩に乗ってるよ・・・」

 

その年の冬、

 

Kは休学し、

翌年に退学した。

 

家族揃って長野に

引っ越していった。

 

理由はあえて言わない。

 

後から考えて、

俺には分からないことがある。

 

Yは最初、

俺たちを心配して、

 

霊にあまり関わるなと言いたくて

近づいて来たのではなかったか?

 

なのに、

 

あえて霊の呼び出し方法を

教えたのはなぜか?

 

Kが引越してから、

 

YがC子と付き合い出したのも

偶然か?

 

C子はKの彼女だった。

 

あの日、

Yが近寄って来た日も、

 

C子はKの傍に居た。

 

たぶん俺の妄想なのだろう。

 

今となっては

どうでもいいことだ。

 

それから、

 

あのカセットを翌日に

全員で聞いた。

 

ザーッという音の中に、

 

「・・しぃ・・しぃ」

 

と言う女の声が

微かに入っていた。

 

Yは、「苦しい、苦しい」

と言っていると言うが、

 

俺には「悔しい、悔しい」

に聞こえた。

 

以上が俺の体験談だが、

霊を見たい方はどうぞ。

 

その勇気があなたにあれば・・・

 

(終)

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