とある神社に建てられた石碑の役目

石碑

 

当時、俺は漁師町に

住んでいた。

 

いつも学校から帰ると、

 

友達と近所の神社へ行って

遊んでいた。

 

その神社、

 

表向きは海難事故防止と、

 

水難によって行方不明になった

人たちの供養のための神社

 

だったそうだが、

 

実際は、

 

あまり良くないものを抑えるために

建てられた神社だ。

 

夏の暑さが厳しいある日、

 

いつも通りに友達と神社で

遊んでいると、

 

奇妙なものを見つけた。

 

60センチほどの苔むした

小さな石碑。

 

表面には漢字で何かが

書いてあったけど、

 

子供だった当時には

分かるわけがない。

 

俺らはそれを冗談半分で

倒してしまった。

 

それがどんなものかも

知らないまま・・・。

 

次の日、

 

家に帰ると婆ちゃんが

回覧板を持って、

 

俺に問いただしてきた。

 

「緊急の回覧板が届いた。

 

神社の大事な石碑が

壊されてたらしい。

 

お前がやったんじゃ

ないだろうな?」

 

と聞いてきた。

 

俺は、怒られるのが怖くて

嘘をついてしまった。

 

婆ちゃんは厳しい表情のまま、

 

「あの石碑はな、

 

『ひしめ様』をあの場所に

ずっと居らせるために

 

建ててた石碑だ。

 

もし目を付けられても

知らんぞ」

 

と言って、

 

回覧板を隣の家へ

渡しに行った。

 

もちろん、

 

そんなものを信じては

なかった俺なので、

 

ひしめ様とか怖がるなんて

婆ちゃんもアホだな(笑)

 

ぐらいの考えしかなかった。

 

しかし、

 

その日から家から家鳴りが

するようになった。

 

しかも、

俺の部屋だけが異常に。

 

さらに、

 

怪我をしたわけでも

ないのに、

 

顔の右半分に大きな

アザが出来た。

 

そのアザは、

 

爪で引っ掻かれた感じ

になっていた。

 

さすがにおかしいと

思ったのだろう。

 

爺ちゃん、婆ちゃん、

 

そして、近所の寺の

おじちゃんに、

 

正座をさせられて

尋問された。

 

結局、

 

自分たちが壊したことを

認めたのだが、

 

婆ちゃんは泣き出してしまい、

 

爺ちゃんは唇を噛みそうなくらい

ギュっと閉じて、

 

俺を真正面に見据えた。

 

「いいか?

 

あの石碑はな、

 

ひしめ様をあの場所に

居らせるために建てたんだ。

 

お前はそれを壊した。

 

つまり、

 

ひしめ様が自由に

なったんだ・・・

 

と爺ちゃんが語気も荒く

説明してくれた。

 

「ひしめ様は、

良い神様じゃない。

 

目星を付けた人間を

殺していく神様だ。

 

今回はお前が選ばれて

しまったんだ」

 

と俺を揺さぶりながら、

爺ちゃんは涙を流した。

 

俺も怖くなり、

泣いてしまった。

 

まさか自分がした事で、

 

自分を死なせてしまうこと

になるなんて・・・

 

思いもしなかっ た。

 

(終)

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