中学時代の恐ろしく悲しい初恋 1/2

 

先日、

中学校の同窓会があり、

 

当時の俺のクラスではタブー化された話が

話題になりました。

 

中学校で同じクラスだった、

加奈(仮)という子がいた。

 

活発で勉強も良く出来る、

可愛い系の子だった。

 

まあ、俺の初恋の人。

 

三年の夏休みに

学校の図書室へ行った時、

 

偶然にも調べ物をしていた加奈がいた。

 

図書室には俺と加奈しかいなかった為、

 

進路について話したり雑談したりしながら、

お互い自分の作業をした。

 

俺はクラスの友達には言ってなかったが、

 

親の仕事の関係で東京の高校へ

行く事になっていたので、

 

加奈にそう打ち明けた。

 

「そうなんだ、寂しくなるね」

 

加奈は少し悲しそうな顔をして、

俺を見た。

 

好きな子にそんな顔されて、

 

たぶん舞い上がるというか、

のぼせてしまったんだと思う。

 

その場で告白してしまった・・・。

 

結果ははぐらかされてしまったが、

 

東京に行っても手紙しようね、

的な仲までは進展した。

 

夕方になり、

途中まで一緒に帰宅。

 

と、その帰り道、

 

加奈が忘れ物をしてしまったと言い、

一人で学校へ戻る事に。

 

別れ際、加奈が言う。

 

「弘ちゃん(俺・仮)の事、

私も好きだよ」

 

本当に嬉しかった。

 

今にも踊りだしそうなくらい浮かれて、

俺は帰宅した。

 

これが、

 

加奈と交わした最後の言葉になるとは

思いもしなかった。

 

昨日の話からして、

 

今日も図書室に行けば会えそうだったので、

朝から学校へ向かう。

 

途中で駐在と県警のパトカーが止まっていたが、

特に気にも留めず学校へ向かう。

 

図書室に加奈の姿は無く、

 

俺は一日、

図書室で加奈を待っていたが、

 

やはり来なかった。

 

それからほぼ毎日学校へ行くも、

加奈には会えなかった。

 

夏休みも終わり、

新学期が始まったが、

 

加奈はいない。

 

担任が帰りにクラスの皆に話があると、

全員残された。

 

話の内容は要約するとこんな感じ。

 

加奈は病気になり、

県外の病院に入院した。

 

ご両親はクラスの皆には

見舞いに来て欲しくないので、

 

病院名とかは言わないで欲しい、

との事らしい。

 

クラス全員が動揺し、

担任に見舞いに行かせて欲しいと言ったが、

 

担任はダメと一点張り。

 

そんなこんなで数日経った日の放課後、

こんな噂が出た。

 

加奈は夏休みに不良数人に拉致され、

レイプされたという噂。

 

精神的に非常にヤバく、

学校に来られないらしい。

 

そんな話、

信じられなかった。

 

目の前が真っ暗になった。

 

しかし、噂の立った元が、

 

別のクラスの女子の

駐在の娘である事が分かり、

 

話は真実味を増す。

 

俺は何度も加奈の自宅に行き、

話を聞かせて欲しいと懇願するも、

 

父親に門前で追い返された。

 

そして加奈は学校に来ないまま

卒業式を迎え、

 

俺は東京の高校に通う事になった。

 

高校に通い、

新しい生活が始まると、

 

加奈の事は次第に薄らいでいった。

 

それでも加奈と最後に話した内容は、

時々、夢に出てきた。

 

高校三年の時に中学時代の友人から、

加奈の訃報を聞いた。

 

自殺だったそうだ。

 

自宅で首を吊ったらしい。

 

俺はその日のうちに飛行機に乗り、

加奈の通夜に出た。

 

地元でも名家だった加奈の家だが、

参列者は少なかった。

 

受け付けで名簿に名前を書くと、

 

係の人に焼香が終わったら

親族の部屋に行くように言われた。

 

涙が溢れたが、

 

なんとか焼香を終え、

親族の部屋へ。

 

部屋には加奈の親父さんと、

年の離れた姉さんがいた。

 

そこで俺に語られた事は、

耳を疑うような悲しく恐ろしい話だった。

 

憔悴した親父さんの話。

 

加奈は俺と図書室で会った日の帰りに、

偶然車で来ていた不良四人に絡まれ、

 

車に乗せられ朝方までレイプされたらしい。

 

家に戻って来た時には全裸で、

身も心もボロボロの状態だった。

 

言動もおかしく、

ケタケタと笑っていた。

 

噂が立つといけないので、

県外の病院にて治療を受けた。

 

精神的なストレスにより、

痴呆のようになってしまい、

 

さらに検査の結果、

妊娠も判明。

 

おろそうとしても、

 

「これは弘ちゃんの子!」

 

と泣き叫び手に負えず、

 

結局、堕胎出来ない時期まで

来てしまった。

 

結果、男の子を出産し、

名前は「弘」になった。

 

加奈がそう呼び続けていたので・・・。

 

加奈は出産後に自宅へ戻り、

奥座敷で療養していた。

 

この頃はすでに母親も気がふれてしまい、

入院してしまった。

 

加奈の面倒は親父さんが見ていたが、

 

加奈は子供返りしており、

まともな会話は出来なかった。

 

時々、我に帰ったような

素振りを見せたが、

 

その都度自殺未遂を繰り返し、

 

施設に入院させようとした矢先、

とうとう首を吊ってしまった。

 

赤ちゃんはお姉さん夫妻が引き取ったが、

ダウン症らしい・・・。

 

親父さんも話が終わると泣き崩れてしまい、

 

お姉さんは俺にこんな話をしてしまい

申し訳無かったと言い、俺を帰した。

 

俺はあの日、

 

一緒に学校まで引き返さなかった自分を

呪う気持ちと涙しか出なかった。

 

だが、話はこれで終わらない。

 

これより数年に渡り、

 

俺の身の回りに不可思議な事が

起こるようになったんだ。

 

その後、大学へ進む為、

勉強に励む俺。

 

深夜にラジオをつけると、

不意に聞こえてくる女の声。

 

ラジオのDJの声に混じり、

 

「弘ちゃん、苦しいよ」

 

と声が聞こえる。

 

ベッドで寝ていると、

 

金縛りと共に聞こえる

赤ちゃんの泣き声。

 

ふと二階自室の窓を見ると

女の姿があったり、

 

携帯アラームが誤作動したり。

 

こんな事が数か月続き、

俺もダウン。

 

寺へ行き、坊さんに祓ってもらうが、

気休めにしかならないと言われる。

 

大学は失敗、

予備校に通い始め、

 

そこで知り合った女の子を

好きになり付き合う。

 

・・・が、

彼女にも影響が出た。

 

寝ていると女の泣き声が

毎晩のように聞こえ、

 

付き合うどころでは無くなってしまい、

別れることに。

 

家は不審火が二回、

霊障らしき音なんかは四六時中。

 

さすがに参ってしまい、

 

一度、加奈の墓参りへ

行くことにした。

 

線香を供え、手を合わせ、

加奈の冥福を祈る。

 

その時、住職がやって来て、

俺にこう言った。

 

君はこのままでは

連れて行かれるかも知れない。

 

東京の○川市にある○○寺の

○○さんを尋ねなさい。

 

きっと力になってくれるから、

と言ってくれた。

 

(続く)中学時代の恐ろしく悲しい初恋 2/2

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