代々神社を管理する分家での霊騒動 2/2

神社の祠

 

「あれはいかん。

早いとこババさんに預かってもらおう」

 

ということを母が話すと、

 

「もしかしたらババさんでもあかんかも」

 

という答えが兄から返ってきた。

 

俺は黙って聞いていた。

 

話によると、

 

あの少女はやっぱり

こっちの地方の霊ではないらしく、

 

昔に先祖が張った結界も効かない、

極めて強い霊だという。

 

(この結界の中にいたら、

ババさんのところに誘導されるらしい)

 

正体があまり分かっていないので、

 

俺ら家族(父母兄姉)はもう一度、

結界を張ることにした。

 

その時に姉ちゃんが、

 

「あっ」

 

と声を上げた。

 

次いで妹が、

 

「昨日の女が来た!」

 

と叫んだ。

 

女は確かに赤いワンピースに、

 

前に見た時よりは比較的、

髪の毛はまとまっていて、

 

まともな格好をしていた。

 

ただ今日だけは、

 

神社に祀っている箱に

石を投げ出した。

 

「やめろ!キヌを置いて行け!

キヌを!」

 

父が女に向かって、

見たことも無いような形相で叫んだ。

 

後から聞くと、

キヌは少女の名前らしい。

 

少女がそう名乗ったと、

兄ちゃんは言っていた。

 

俺は聞こえなかった。

 

女は一目散に逃げ出した。

 

女は祠の方に向かっていって、

祠を必死で開けようとした。

 

そして、祠が開いた。

 

初めて俺は祠の中を見たけれど、

こけしみたいなのが入っていた。

 

「見るな!見ちゃいかん!!」

 

と父は言い、母はまた、

 

「カルヅゲタマが知ると、

オンヌシが黙ってはいないぞ!」

 

みたいなことを言った。

 

(この言葉については、

 

「跡を継がん奴には関係ない」

と言って教えてくれない)

 

女は呻きながら、

こけしを撫でている。

 

父と兄ちゃんが取り押さえて、

 

「アキとさつきは神社へ行け!

ババさまにお願いしてくれ!」

 

と母が叫んだ。

 

俺と妹は走って神社に行って、

何も考えずババさまにお祈りした。

 

すると、

妹がやけに泣き出した。

 

「ふぃ、ひゃあ、ぎゃえ・・・」

 

と訳の分からないことを言って、

 

「呪うぞ」

 

と妹からは聞いたことの無いような、

低い声で呟いた。

 

俺はもう怖くて怖くて、

 

本当に大泣きしながら

ババさまにお祈りした。

 

妹は時々白目を剥きながら、

 

「のろう」

 

という言葉を交えつつ、

叫び続けている。

 

俺の家の神社は山の上の方にあるので、

人は誰も来てくれなかった。

 

その時、

さすがに霊感の無い俺でも分かった。

 

妹が俺の背中を引っかく時に、

なにかが俺の髪を引っ張った。

 

妹の手は両手とも背中にあるから、

妹ではない。

 

そして、

 

「受け止めた」

「いけるとみた」

 

みたいな言葉が聞こえて妹が倒れ、

俺もなぜか身体が軽くなった。

 

そして母が終わったと言って、

 

「さあ、さつきを連れて行って」

 

と、どこかへ歩いていった。

 

さつきはもう意識を取り戻したようで、

 

自分でいけると言って、

俺と二人で歩いて家まで帰った。

 

俺はまだ半泣きだったけれど、

 

妹も両親も、

兄も姉も意外と平気な様子で、

 

その日の晩御飯は、

普通の白い飯だった。

 

あの時に助けてくれたのは、

ババさまではないらしい。

 

あの女がどうなったのかも、

誰も俺と妹には教えてくれなかった。

 

ただあの女が神社に来ることは、

二度と無かった。

 

ババさまの祠はというと、

今は別の場所に移されて、

 

相変わらず近づいてはいけないと

言われている。

 

母も父も兄も姉も、

 

「忘れろ」

 

とだけ俺に言う。

 

ババさまはあくまで呪い関係の神様らしく、

あまりいいものではないらしい。

 

あの後、母と何度も本家に行って

同じようなこけしを目撃したので、

 

本家が処理してくれたんだと思う。

 

俺の中ではまだ決着はついていないが、

家ではこの話題はタブーになっている。

 

(終)

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