心霊スポットを巡った後で
去年の夏にあったことだが、
怖かった話をひとつ。
大学の友達4人で心霊スポットを
3ヶ所ほど回ったんだけど、
期待した幽霊などに会うこともなく、
結局はコンビニで色々買い込んで、
公園のような場所で喋っていた。
普段は俺を含めてみんな大人しいが、
この4人が集まると結構”ハイ”になって
悪ノリしてしまう事がある。
今日も心霊スポットの空家や病院跡で、
物を壊したりガラスを割ったりして、
いつもよりハイになっていた。
その公園の端にあったベンチで
俺らは座って喋っていると、
公園の真ん中には背が高くて
髪の長い女が立っていた。
あの”貞子”みたいな感じの・・・
それで俺らは、
悪ノリで絡み始めた。
「遊ばねー?」
「ホテル行こー」
・・・・・・
そんな感じで。
でもその女、
逃げたりとか言い返したりとか
全然リアクションを取らなくて、
なんだか俺らはイラついてきた。
すると何を思ったのか、
友達の一人が手元にあった石を
その女に投げつけた。
かなりの勢いで。
投げた石は見事に女の腹を直撃し、
俺らはそれ見てゲラゲラ笑っていた。
女は軽く腹を押さえると、
俺らに正面を向けて立った。
次の瞬間、
猫のように「ミー」と声をあげると、
その場で前転するような感じで
グルングルンと回り始めた。
俺らはそんな異常な状況なっても、
すっかりハイになっていたので、
「ウハハ、スゲーよ、この女」
などと言って笑っていた。
いや、もうみんな「ヤベェ」と
思っていたんだろうけど、
うわべだけでも笑っていようと
していたのかも知れない。
すると、
女はブリッジの体勢になって、
ビタリと止まった。
そして、
俺らの方に顔を向けた。
長い髪の毛が全部垂れ下り、
顔が見れたんだけど、
目の白い部分が真っ赤で、
目の黒い部分も猫や犬みたいに、
光を反射してギラリと光っていた。
開いた口からはギザギザの歯と、
30センチくらいありそうな舌を出していた。
「あ、こいつ、まじヤベェ・・・」
と思った瞬間、
「フシャー!」と、
猫が怒った時のような声をあげて、
ブリッジの体勢のまま手足をバタつかせ、
俺らに向かってきた。
一目散にみんなバラバラに逃げ出し、
家に帰った。
俺も家に帰ったんだけど、
とりあえず玄関には塩を撒いた。
食塩だけど・・・
その後、
俺は特に何も起こらなかったが、
石を投げた奴は数日後、
車で事故っていた。
命に別状はなかったが、
関係あるのかは分からない。
本当に怖かったなぁ、アレは・・・
(終)
殺されれば良かったのに