カラオケ屋の大部屋で一人で歌っていた女

カラオケ

 

先日、地元のカラオケ屋に

一人で行った時の話。

 

カラオケの機種を選択した際、

 

希望の方でなければすぐ部屋に通せる、

と言われたが、

 

こっちが良いのでと言うと、

15分くらい待ってもらうことになると。

 

それで良いですと了承し、

トイレに行った。

 

トイレに入る前に何気なく、

トイレ前の部屋をちょっとだけ覗いた。

 

そこは大人数用の部屋なのに

女が一人で歌っていて、

 

その光景がやけに奇妙に感じた。

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カラオケ屋には幽霊が棲みつくというが・・・

目線を感じたのか、

女がこちらに振り向いた。

 

俺は「やべぇ!」と思って、

目を合わせずに直ぐトイレに入った。

 

トイレから出て受付に行くと、

 

部屋が空きましたのでご案内します、

と言われた。

 

15分くらいかかると言われていたので

ラッキーと思い、

 

渡された番号札の部屋に行くと、

さっき覗いたトイレ前の大部屋だった。

 

この大部屋で一人で二時間も歌うのか、

と思うと何だか気が滅入る。

 

しかも、ついさっきまで、

あの女が歌っていた奇妙な部屋・・・

 

そういやあの女、

会計場で見なかったな・・・

 

俺が用を足すうちに歌い終えて、

会計済ませて出ていったのか?

 

早ぇな、おい。

 

・・・というより、

店員が部屋を一旦片付けて、

 

マイクやら何やらセットし直すのも

やけに早過ぎないか?

 

と、何となく違和感を感じたけれど、

その時はあまり深く考えなかった。

 

大部屋は前の女の跡形も無く、

綺麗に掃除されていたけれど、

 

なんとなく良い感じはしなかった。

 

だだっ広くて、

所々の壁紙が剥がれていた。

 

それでも深く考えず、

時間も無駄にしたくないので、

 

俺は曲を入れまくった。

 

陽気なアニソンなど、

 

なるだけ気分が盛り上がるような

曲ばかりを入れ続けた。

 

しばらく歌った後に時計を見ると、

ちょうど一時間が過ぎていた。

 

まだ半分ある。

 

予約曲も途切れたので、

小休止にドリンクバーへ行った。

 

部屋に戻ってきた時、

俺は驚いた。

 

聴いたこともないような曲が、

部屋中に鳴り響いていた。

 

もちろん、俺は入れていない。

 

演歌のような曲で、画面には、

 

『細いナイフを 光らせて

憎い男を 待っていた』

 

という歌詞を追っていた。

 

俺はとにかく、

慌ててリモコンで曲を切った。

 

気味が悪かった。

 

俺はしばらく歌わないで、

持ってきた烏龍茶を飲んでいたけれど、

 

静まり返った広い部屋に一人でいると

ますます不気味で、

 

仕方がないからと本とリモコンを引き寄せ、

また曲を次々に入れていった。

 

・・・ところが、

 

前奏が始まって歌おうとすると、

手元に置いていたはずのマイクが無い。

 

あれ?と思い、ふと周りを見ると、

部屋の奥の大机の端の方に転がっている。

 

この机、傾いているのか?と思いながら、

俺はマイクを取って歌い出した。

 

だけど二曲目の途中・・・

 

握っていたマイクをふと見て、

俺は気付いてしまった。

 

マイクの球体の縁には、

転がり防止のストッパーが付いている。

 

机が傾いていたとしても、

あんなに奥まで転がるはずがない。

 

俺はゾッとして、

思わず部屋の隅々を見渡した。

 

曲も消した。

 

俺はふと気付いて、

タッチパネル式のリモコンを手に取った。

 

履歴を見てみた。

 

たった今、俺が消した曲の前に、

 

『ざんげの値打ちもない』

 

という見知らぬタイトルが入っていた。

 

俺がドリンクバーから帰ってきた時に、

かかっていたあの演歌みたいな曲だろう。

 

俺は入れていない。

 

間違えて入れたとも考えられない。

 

そのずっと前の履歴も遡って見てみた。

 

すると・・・

 

『ざんげの値打ちもない』

『ざんげの値打ちもない』

『ざんげの値打ちもない』

『ざんげの値打ちもない』

『ざんげの値打ちもない』

・・・・・・

 

俺は部屋から出て、

目の前のトイレに入った。

 

したくもないけれど個室に入った。

 

そうしてしばらく、

 

今日来て直ぐあの部屋を覗いた時に見えた、

あの女の横顔を思い浮かべていた。

 

気持ちが悪い。

 

もう、あの部屋で歌いたくない。

 

しかし、いつまでもこのトイレの個室に

居ても仕方がないので、

 

まだ30分以上も時間はあるが、

会計を済ませてここを出ようと立った。

 

ドアノブを握り、

恐る恐る数センチ開いた時、

 

音が漏れてきた。

 

部屋にはまた、

大音量で”あの曲”がかかっていた。

 

もう無理だ!と思った俺は、

部屋に入らずにそのまま受付に向かった。

 

角を曲がる瞬間、

ふと部屋の方を振り向いた。

 

部屋の扉のガラスの部分から、

あの女がこちらを見ていた。

 

へばり付いて笑っていた・・・

 

俺は受付に行ったが、

 

事情を説明したところで

信じてもらえなかったらどうしようと思い、

 

おどおどしながら店員に、

 

「あの、14番の部屋なんですけど・・・」

 

と話し掛けると、

 

店員は何か察知したように、

すぐに俺の言葉を遮った。

 

「あ、分かりました、大丈夫です。

部屋、お替えになりますか?」

 

「いや、もう帰ります」

 

すると店員は他の店員と目配せをして、

あの部屋まで俺の荷物を取りに行ってくれた。

 

かなり手慣れた感じだった。

 

お金を払おうとすると、

 

「今日は料金は結構です」

 

と言われた・・・

 

(終)

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