同級生が自殺したと聞いて
随分と前のことになるが、中学の同級生が自殺した。
どうやら飛び降りらしい。
ほとんど関わりは無かったが、同じ中学を卒業したやつが自殺なんて・・・と思ってショックだった。
葬式にはニュース用のTVカメラも来ていて、「本当に来るんだな」と思って見ていた。
葬式の時に聞いた話だと、彼は駅のホームで人を突き落として死亡させ、刑務所に入っていたらしい。
出所後に、それが原因で自殺したのだろう、と。
殺人やら自殺やら、俺とは全く関係の無いものだと思っていたので、話を聞いた時は気分が悪かった。
それから数年が経って、中学の同窓会があった時に彼の話が出た。
話の流れだったか、彼と親しかったらしい友人がぽつぽつと話し始めた。
少女は一体何者だったのか?
彼は、仕事が深夜に終わって終電で帰るような仕事をしていたらしい。
その日も彼は終電を待ってホームに立っていた。
すると後ろから、「尻尾の生えた姉妹の合い言葉な~んだ」と訊かれた。
後ろを振り返ると、小学生くらいの可愛らしい子供が立っていたそうだ。
(こんな時間に子供?)
そう思って周りを見渡したけれど、親らしき人は居ない。
するとその子供が、「尻尾の生えた姉妹の合い言葉な~んだ」と、また訊いてくる。
なぞなぞだと思って考えてはみたものの、全く答えが分からない。
「分からないなあ」
と彼が言うと少女は少し笑い、「それはね・・・」と呟いた次の瞬間、その少女は彼を前へ押した。
大した力が無くても、不意に押されたらしっかり立ってはいられない。
彼はよろめき、前へ並んでいた人に倒れ込んだ。
前に居た人はホームから線路に押し出され、ホームに入ってきた列車に轢かれて死亡した。
そうして彼は刑務所へ入ることになった。
友人の話が終わった頃には誰も喋らなくなり、しばらくシーンと静まり返っていた。
「そんなの、誰かが考えた作り話だろ。死んだやつに失礼だぞ」
そう誰かが言った。
確かに”人を殺した”という過ちがあっても、死んでしまったやつのことをこういう話に使うのはどうかと思う。
その日はすっかり冷めてしまい、俺は一次会でそそくさと帰った。
そして昨日、家に甥っ子が遊びに来た。
一緒にテレビを見ていたら、甥っ子が「なぞなぞをしよう」と言ってきた。
「尻尾の生えた姉妹の合い言葉な~んだ」
それを聞いた瞬間、あの同窓会の話を思い出して背筋がゾッとした。
それに答えるのも、答えを聞くのも嫌になり、自分の部屋へ逃げた。
中学生の間では、このなぞなぞが流行っているのだろうか・・・。
追記
おそらく、なぞなぞの答えは『おしまい』だと思われる。
『尻尾(お)+姉妹(しまい)=お終い』
(終)