父が守ってくれている
父が、私の寝てるところまで来て
私の事を見つめてるので無性に腹が立ち、
「なんだよ!」
と、飛び起きたら、
そこには誰もいなかった。
飛び起きて1秒も経たないうちに、
電話が鳴った。
父が事故ったという
知らせの電話だった。
私は具合が悪く、
家で寝込んでいた。
頭痛でボンヤリした頭で寝ていたら、
いきなり外に出たくなった。
おいおい、熱もあるし頭だって
死にそうなくらい痛いのに、
何やってんだよ・・・
と思いながらも、
ついでにポカリや食べ物でも・・・と、
財布を手に取り、外に出た。
コンビニに向おうと
5メートルほど歩いた所で、
トラックが私の部屋に突っ込んだ。
家には仏壇と神棚がある。
いつも気にも留めないものなのだが、
ある日どうしても仏の像が気になった。
よくよく見たら、
顔つきが変わっていた。
父の顔そっくりになっていた。
それからはキチンと水も
取り替えるようになり、
何となく穏やかな顔に
なってきたような気がする。
そんなある日、
駅の階段を踏み外した。
梅雨時だし、雨で濡れて
非常に滑りやすくなっていた。
しかも階段の一番上から
足を踏み外し、
「あ、死ぬな」
と目を瞑った瞬間、
一番下の通路に立っていた。
目を瞑った瞬間、確かに私は
誰かに抱きしめられた。
多分、父だと思う。
(終)