雪原で見つけた奇妙な足跡
これは、山で出会ったご高齢の猟師さんから聞いた話です。
みなさんはウサギの足跡がどのようなものか御存知でしょうか?
雪上に残ったものを見た方も多いと思います。
前足の跡が縦に二つ並び、その前に後足の後が横に二つ並んでいるものです。※上の画像のような足跡です
でも、その猟師さんが追跡した足跡は“大変に奇妙なもの”でした。
山にはおかしな者がいる
前足の跡が一つと後足の後が二つだけしかなく、しかも前後の足跡が逆に付いていたそうなのです。
猟師さんは不気味に思いつつも、何故か妙に惹きつけられてしまいました。
そのまま追跡したそうですが、その奇妙な足跡の続きは雪原の真ん中でかき消すように途絶えてしまっていたそうです。
ウサギが追跡者をかわすために後ずさりをすることもあるそうですが、そのような痕跡は全く見とめられず、まるで雪原の中に解け込んでしまったような印象を受けたと言っていました。
また、連れていた犬の様子もおかしく、足跡が消えている辺りに近付くと、急に怯えだして使いものにならなくなったそうです。
ただ、その猟師さんは先達の方々から、「山にはおかしな者がいる」と散々怖い体験を聞かされてきたそうで、「俺のは大したことがないな」ぐらいにしか感じなかったとのこと。
後で先達の方々から、「見なくて良かったな」と言われたそうですが・・・。
あとがき
私が出会ったそのご高齢の猟師さんは、結構のほほんとした感じで話してくれました。
ミツ(三つ足のモノ)にも色々いて、深刻なヤツからどうってことのないヤツまでいるのかもしれません。
・・・とは言え、先達の方々に見なくて良かったと言われたぐらいなので、深く関ってしまうとマズかった可能性も。
彼は奇妙な足跡よりも、何故か山中に立てられていたカカシに出くわした時の方が怖かったそうです。
理由は、「確実に変わった人間が関与している事象だから」だそうです。
やはり、理解し難い人間が一番怖いとのことでした。
(終)