正体不明で目に見えないブヨっとしたもの
これは、自分の部屋で今も続いている不可解な出来事。
就職に伴い、この3月末から一人暮らしをしているが、この部屋は『出る』かもしれない。
それは引っ越してすぐのこと。
部屋で寝ていると、背中の辺りにスルッと猫が入ってくる気配があった。
いくら寒くても布団に入ってくるなんて滅多にないのに珍しいな・・・と思った俺は、「あんかをつけてやろうか?」と声をかけ、腕を回して猫の背中を撫でようとした。
すると、いつものモフモフという感触ではなく、何かブヨっとしたものに触れた。
焦って布団から転がり出て、急いで部屋の明かりをつけたのだが、布団の中には何もいなかった。
・・・というより、猫は実家にいるのだから、猫が新居の俺の布団に入ってくるわけがないことに気がついた。
その後も夜中に背中の辺りや足元などに、“何か”が入ってきた感じがすることが時々ある。
なんとなくだが、その何かの大きさは猫より大きく、ブヨっとした感じで、目には見えないモノ。
例えば部屋で起きている不可解な現象として、押入れを閉めようとすると、ドンッと何かが挟まったように十数センチくらい開いたまま襖が止まることがある。
建付けが悪いのかと最初の頃は思っていたが、普段はスッと軽く閉まることの方が多くて、たまに何かが挟まったようになる。
他にも、お風呂から出た時に何かを踏ん付けたと思って転んでも何もなかった、ということもあった。
モフモフした感じなら猫の幽霊かなと思うのだが、触った感じが明かに猫ではない。
ソレが何なのかは分からないが、悪意があるわけでもなさそう。
むしろ、機嫌が良い時の猫のように、俺に付きまとっている感じがするのだが、とはいっても正体不明すぎてやっぱり怖い。
考えすぎかもしれないが、猫くらいの大きさでブヨっとしたもの・・・。
もしかしてそれは人間の赤子なのだろうか?
(終)