ひとつだけ真っ赤な石コロ

川辺

 

これは、俺が中学一年生だった時の話。

 

ある日、友人らと三人で、自転車で少し遠出をして隣町の山へ遊びに行った。

 

そして俺たちは、川の下流の方で水切りをして遊ぶことにした。

 

少し離れた場所で石コロを物色していた友人の一人に呼ばれて行くと、そこには沢山の石コロの中に『一つだけ真っ赤な石コロ』があった。

 

見た感じはツヤもなく、ペンキやスプレーなどで塗った感じもない。

 

辺りを見回しても、よくある灰色の石ばかりで、赤い石はそれ一つだった。

 

中学生の俺たちに、その石をいじりたいという好奇心を抑えきれるはずもなく、石を割って断面がどうなっているのか確かめようということになった。

 

そうして最初に石を見つけた友人が、赤い石を手に取り、付近にあった岩を目掛けて思い切り投げ付けた。

 

すると、岩にぶつかった瞬間、その赤い石からどう聞いても人のものとしか思えない「うわあああ!!」という野太い叫び声が聞こえた。

 

俺たちは度肝を抜かされ、一目散にその場から逃げた。

 

自転車に跨ってすぐに帰路についたのだが、道中で先ほど聞こえた叫び声について興奮気味で語り合った。

 

そして、もしかしたらバチが当たるかもしれないという結論になり、事故らないようになるべくゆっくりと自転車を漕いだ。

 

その日以降、これといって異変はなかったが、あの声は一体何だったのだろうか?と今でも思う。

 

もちろん、二度とその山へは行かなかった。

 

(終)

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