消したテレビに映る浴衣の女

家族で鳥取県へ

旅行に行ったときの話です。

 

私が小学生だった頃、

夏休みに父の実家がある鳥取県へ

旅行に行くのがお決まりでした。

 

実家に4、5泊した後、

温泉旅館に1,2泊というのが

多かったと思います。

 

話は、その温泉旅館での事です。

 

その頃の私は、第二次成長期に

差し掛かった時で、

家族と一緒なのが嫌だったのもあり、

先に一人で温泉に入りました。

 

一足先に温泉に入った私は、

両親と弟が温泉に行ってる間、

部屋でテレビを見ながら、

家族が帰ってくるのを待っていました。

 

時刻は、10時頃だったと思います。

 

私はテレビに飽きたので、

持ってきた携帯ゲーム機でもやろうと思い、

のそのそと四つ足で

テレビまで這っていって電源を切りました。

 

その時、何気なく消えた

テレビのブラウン管を見た私は、

自分の目を疑いました。

 

テレビの湾曲したブラウン管には、

魚眼レンズのように、

部屋のほぼ全体が映っていました。

 

中央には私が映っています。

 

その背後、部屋の対角線にあたる角。

そこに誰かが映っているのです。

 

浴衣姿の女の人でした。

 

部屋の隅を向いているので、

顔は分かりません。

 

しばらく私は、テレビの電源を切った

四つん這いの姿勢のままで、

固まっていました。

 

何十秒か何分か、経ちました。

 

私も背後の浴衣姿の女の人も、

動いていません。

 

その時、意識せずに

指が動いたのでしょうか。

 

テレビが再び、つきました。

 

私は金縛りが解けたかのように、

反射的に振り向きました。

 

誰もいません。

 

部屋の隅には、女の人など

いませんでした。

 

楽しげなテレビの音が流れ、

私は、さっきのは現実だったのか、

分からなくなりました。

 

私は、もう一度

テレビの電源を切りました。

 

何故かは、よく分かりません。

 

安心して、好奇心が

出たのかもしれません。

 

さっきのが夢だったという証拠が、

欲しかったのかもしれません。

 

しかし、テレビのブラウン管には、

同じように浴衣姿の女の人が

映っていました。

 

私は信じられない思いで、

じっと彼女を見つめました。

 

すると、彼女の肩が

見られているのを感じたかのように、

ピクリと動きました。

 

気づかれた!

そう思いました。

 

そして私は、今度こそ

泣きそうになってしまいました。

 

その女の人が、振り返り始めたのです。

顔は見たくない!!

 

横顔が見えた瞬間、

私は目をつむりました。

 

私は、温泉から帰ってきた家族に

起こされました。

 

テレビの前で眠っていたそうです。

 

あれが夢だったのかは、

今も分かりません。

 

(終)

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