特定の条件下で必ず見かけた女性

掃き掃除

 

地元の寂れた神社の話。

 

延喜式的にはそこそこのランクらしいが、

 

延喜式(wikipedia)

えんぎしき。平安時代中期に編纂(へんさん)された格式(律令の施行細則)で、三代格式の一つである。

 

社務所も無く、

神主は常駐していない。

 

(近所に住んではいる)

 

一人でこの神社に入ると、

必ず女性が掃除をしている。

 

いつも同じ夜会巻きみたいな髪型の、

30歳前後の地味な女性。

 

夜会巻き

(夜会巻き)

 

神社の前を通って、

 

中を覗くだけや他の人と一緒に

入る時は見かけないが、

 

一人で入った場合は例外なく必ず居る。

 

神社以外で見かけたことはなく、

間違いなく地元民ではない。

 

神主の親戚縁者でもないことは確認済み。

 

自分だけでなく、

 

地元の友人勢も同じ条件下でのみ

彼女と遭遇している。

 

会釈すれば相手も会釈を返してくれるが、

言葉を交わしたことはなく、

 

こちらが「こんにちは」と言っても、

返ってくるのは会釈のみ。

 

遭遇が度重なって、

どういう人なのか気になったので、

 

両親に訊いてみると、

そういう人は知らないとのこと。

 

ただ、父曰く、

 

父が高校生になるあたりまでは、

よく似た女性がいつも掃除してくれていたが、

 

何処の誰かは不明という話だった。

 

結局、どういう人なのかは

分からなかったものの、

 

父の話を聞いて、

 

自分が見かけるのはその人の

娘さんか何かだろうと、

 

とりあえず納得した。

 

・・・とはいえ、

 

遭遇回数と見る時や見ない時の条件に

例外が一切無いことから、

 

不思議を通り越して、

若干気味が悪くなってきて、

 

いつしか神社に近付かなくなった。

 

ここまでが小学校高学年くらいまでの話。

 

中学二年あたりから、

個人塾に通うようになったのだが、

 

中学三年のある時に、

帰宅がえらく遅くなった。

 

塾を出たのが23時50分頃。

 

神社を通り抜けすると、

だいぶ近道になる。

 

早く帰りたかったというのもあり、

 

その頃は女性のことを忘れていたので、

自転車に乗ったまま通り抜けようとした。

 

・・・ところが、

 

深夜0時前後だというのに、

例の女性が居た。

 

以前見た時と同じように、

竹ぼうきで落葉を掃いている。

 

鳥居をくぐってすぐに気付き、

思わず急ブレーキした。

 

女性は本殿近くに居たので

結構距離はあったはずなのだが、

 

何か言おうと口を開いたのが、

何故かはっきりと分かった。

 

無表情だった。

 

普通に考えたら「夜遅くまで危ない」とか、

そういうことを言おうとしたんだろうと思うが、

 

その時は「この人の声を聞いたらいけない」

と強く感じ、

 

慌ててターンした。

 

今までは霊的に怖いというのではなく、

 

何か危ない人なのではないか

という怖さだったのだが、

 

「この女の人・・・

絶対に生きてる人間じゃない!」

 

この時はそう感じた。

 

背筋を寒気が上るというか、

血の気が引くというか・・・

 

とにかくちょっと不気味なんてものではなく、

身体が本能的に何かを拒絶した感じだった。

 

全速力で家まで漕ぎ続けたが、

 

神社の周りを走る形になるので、

かなり怖かった。

 

後日、

 

昼間に一人で神社に行ってみたが、

女性は居なかった。

 

以来、一度もあの女性を見かけない。

 

その後に友人たちにも訊いてみたが、

今も見るという人と見かけない人とがいて、

 

高校に上がる前後までには

全員が見なくなっていたと思う。

 

最近、実家に帰ったら、

 

自分に懐いてる近所の中学一年生男子から、

神社で掃除をしている女性の話を聞かされた。

 

聞けば容姿や外見年齢は、

約15年前に自分が見た女性とよく似ている。

 

聞く限り、遭遇条件も、

かつて自分たちが経験したものと同一。

 

地元以外の熱心な信者一家だとか、

 

全員が同条件下でしか見ないのは

単なる偶然だとか、

 

あの夜、あんなに恐ろしく感じたのは

シチュエーションに惑わされただけだとか、

 

年齢を感じさせない人だっているとか、

 

まあ幾らでも説明はつく。

 

ただ、とりあえずよく似た女性を

一定条件下でのみ、

 

高校に上がる前後までの歳の子だけが

何十年も見続けている。

 

あとがき

この女性との会話を成立した人は、

知る限り誰もいない。

 

「いつもご苦労さまです」

「こんにちは」

 

などの挨拶なんかは、

自分以外の人も言ったみたいだけど、

 

先に書いた通り、

会釈で済まされる。

 

自分の場合は、

 

会釈の後に顔を逸らして掃除に戻られると、

なんかもう声をかけられなかった。

 

多分、他の人も

同じだったんじゃないかな。

 

前述の中一男子の友人が勇気を出して、

 

「いつも大変ですね。

家は近いんですか」

 

と訊いたらしいが、

会釈だけで質問は無視されたそうな。

 

もしくは、肯定で頷いたのか。

 

ひょっとすると、

聾唖の人なのかも知れない。

 

※聾唖(ろうあ)

耳の聞こえないこと。言葉を話せないこと。

 

声をかけられたら、

視線とか振動などで分かるから、

 

とりあえず顔を上げて会釈していた?

 

昼間に見ていたわけだから、

 

恐らく普通にこの世の人なんだろうし、

そうであってほしい・・・

 

自分たちは「あれ?おかしいな?」

と思う頃には気味悪くなってきて、

 

神社に行くのも話題にするのも、

なるべく避けているような感じだった。

 

(終)

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