祖母が見た光の玉と大男

人魂 ひとだま

 

祖母から聞いた話。

 

その日は勤め先のトラブルが原因で

帰宅時間がすっかり遅くなり、

 

足早に帰路を急いでいた。

 

灯火管制された町は暗く、

提灯の明かりだけが頼りだった。

 

しばらくすると、

少し離れた場所に明かりを感じた。

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その場所にあったのは・・・

明かりの方を見てみると、

 

3つ程の”光の玉”がボールのように

ポーンポーンと地面を飛び跳ねている。

 

光の玉はかなり強い光を放ち、

尾を引いていた。

 

祖母はその不思議な光景に足を止めて

しばらく眺めていたが、

 

ふと背後に気配を感じて振り返った。

 

そこには・・・

雲を突くような大男が立っていた。

 

驚きつつ「こんばんわ」と声をかけてみるが、

大男からの返事は無い。

 

顔を見ようと提灯をかざしてみるも、

何故か見ることが出来ない。

 

怖くなり「ごきげんよう」と会釈して、

その場を離れることにした。

 

歩き始めてしばらくした頃、

祖母は気付く。

 

大男が付いて来ている。

 

肩越しで見返ると、

2メートルも離れていない。

 

祖母の歩みは自然と早くなり、

最後は走り出した。

 

そして自宅を視野に入れると、

大声で助けを求めた。

 

祖母の声を聞いた祖父は、

ゆっくりと外に出てきた。

 

ぼんやり祖母の来る方向を眺めていたが、

何かを見つけると途端に慌てだした。

 

戸や窓を全部閉め切り、

息を切らす祖母を家に引っ張り込むと、

 

玄関にガチャリと鍵を掛け、

窓越しに頻(しき)りと表の様子を窺(うかが)った。

 

祖父の目には、“巨大な火の玉”

祖母を追いかけて来るのが見えていた。

 

翌日に光の玉を見た場所に行ってみると、

そこには“墓地”があったという。

 

(終)

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