一人で留守番をしていた少女が見たもの
霊的な怖い話ではなく、身近で起こった事件にまつわる恐怖体験。
かなり昔の事になるが、事件としてはすでに解決しており、当時は地方紙の小さな欄にも載った実際にあった事だ。
その事件に巻き込まれた当事者は、俺ではなく女友達(以下、K子)。
なので、当事者ではない俺はK子から聞いた事しか書けないが・・・。
相当怖かっただろう
K子が高校3年生の時、家で一人留守番をしていた事があった。
両親は親戚の結婚式の為に不在で、K子は受験勉強をしていたらしい。
外も真っ暗になった頃、K子は台所へ飲み物を取りに行った。
その時、ふと台所の横にある小窓を見ると開いている。
閉めたつもりだったらしいが、良く見ると鍵の所にガムテープのようなものが付いていた。
小窓の近くまで寄った時、ガラスが割られているのに気付いたそうだ。
K子はすぐに「泥棒が入った!」と感じたらしく、急いで台所にある電話機から俺宅に電話をしようとしたらしい。
(その頃はまだ携帯電話が普及していない)
K子は親戚の電話番号も覚えていなくて、なにより住んでいる所が田舎すぎて、K子にとっての同学年の幼馴染は俺だけしかいなかった。
きっとパニックになっていたのだろう。
俺とK子は通う高校も違うし、思春期であまり話したこともなかった・・・のにだ。
でも俺は、そんなK子からのSOSの電話を結局は受け取れなかった。
何故か?
それは、K子の一大事に俺はのんきに寝ていたからだ。(笑)
話しが逸れたが、K子は俺宅へ電話をしてコール音が鳴っている時に、ふとテレビの方に目をやった。
すると、テレビの後ろに隠れている『何者かの足』を見つけてしまった。
田舎の深夜ということもあり、辺りは静か過ぎるほどシーンとなっているのに、その何者かの鼻息すら聞こえてこない。
その何者かは、どうやら自分の存在がK子にバレていることに気付いていないらしく、物音はもちろん、一切の音を消してずっと隠れている。
K子はその緊張感で心臓がバクバクしていたそうだ。
結局、俺宅への電話も繋がらなくて台所から逃げようと思ったらしいが、どうしてもテレビの前を通らないと戸を開けられない。
テレビの後ろには“絶対に”何者かがいる。
K子はドキドキしながらも平静を装ってテレビの前を通ったらしいが、引き戸の建て付けが悪かったせいか中々開かなかったらしい。
戸を開けるのにアタフタしていると、横目でテレビの後ろを見てしまい、じっと隠れていた何者かと目が合ってしまった。
・・・真っ裸。
その何者かは、化粧をして赤い口紅を塗った真っ裸の男。
案の定、バレた男はK子と目が合うなり襲ってきたが、隣の家の人がK子の叫び声に気付いて助けに来てくれた為、辛うじて強姦は未遂に終わった。
その変態男、新聞には何かの前科ありの『暴行魔』と書かれていた。
(終)