礫ヶ沢の「つぶておに」の話 1/2

川原

 

礫ヶ沢の『つぶておに』という

話をしようと思う。

 

※礫ヶ沢(つぶてがさわ)

※礫とは、2mm以上の砕屑物(粒子~塊)。

 

家からそう離れていない

山の中の小さな川なんだけど、

 

そういう名前の場所があるんだ。

 

その名前の由来というのが

昔話からなんだけど、

 

その昔話に出てくる『鬼の礫』

というのが変わった石で、

 

大きさはまちまちなんだけど、

鬼が握った痕のような模様がついている。

 

確かにそれは石なんだけど、

ぶつけられても痛くない。

 

多分、粘土かなんかじゃ

なかろうかと思うんだけど、

 

握ってみると普通の石くらい硬い。

 

その鬼の礫が礫ヶ沢を探すと、

たまに見つかったりするんだ。

 

でも、

 

それを家に持ち帰ってはいけない、

という決まりになっていて、

 

「鬼の礫は向こう岸」

 

と言って川に投げ込まなければ

ならないんだ。

 

その理由をばあちゃんに聞くと、

 

「昔話みたいに鬼がやって来るから」

 

・・・そう言うんだ。

 

当然、本当に?

とか言うわけなんだけど、

 

その度にばあちゃんの子供の頃の

話を聞かされる。

 

ばあちゃんの子供の頃の話というのが、

 

『つぶておに』

 

という、鬼ごっこみたいな遊びを

した時の話でさ。

 

簡単に言えば、

鬼が石を持って鬼じゃないヤツにぶつける。

 

ぶつけられたらそいつが鬼になって

石を持って追いかけるというもの。

 

ちょっと変わってるのは、

 

鬼が使う石は鬼の礫で、

その石の交換は出来ない。

 

だから、ぶつけそこなうと、

 

それを探している間は

かくれんぼの様を呈してくる。

 

そしてここからが大事なんだけど、

 

遊び終わって帰る時は

その石を川に投げ込み、

 

「鬼の礫は向こう岸」

 

と叫ばなければならない、

ということ。

 

これは、終わりの合図にも

なっていたと思うんだけど、

 

実はそれだけじゃないらしい。

 

つぶておにで遊んでいた、

ばあちゃんと近所の子供達。

 

その日、

 

ばあちゃんは家の都合で

先に帰ったんだけど、

 

その残りの子供達が

遅くまで遊んでいたのね。

 

日が暮れた後で、

そいつ等は帰って来たんだけど、

 

その晩、

凄いことが起こったらしいんだ。

 

村のある家で、

一家惨殺事件が起こった。

 

爺、婆、お袋と、

 

包丁で滅多刺しにされた姿で

翌朝に発見されてさ。

 

(親父は出稼ぎ中で居なかった)

 

イヤなことに、

その死体は肝が食い荒らされていた。

 

それでいて、

 

そこの子供の姿がなかったものだから

大騒ぎだったらしい。

 

せめて子供だけでも、

ということだったんだろうね。

 

ところがさ、

 

それを聞いて青ざめたのが

一緒に遊んでいた子供達で、

 

「実は大変なことをした」

 

と、ばあちゃんにこっそり話した訳よ。

 

それは、最後に鬼になったのが

例の家の子供で、

 

礫を探している間に、

みんな帰っちゃったらしい。

 

ここからは、

ばあちゃんの推測なんだけど、

 

「暗くなって誰もいない河原で

石を見つけたヤツは、

 

そのまま石を持って、

泣き帰ったんじゃないか?」

 

そう思ったわけ。

 

ところが「鬼の礫は~」をしていないから、

鬼が付いて来たんじゃ無かろうか、と。

 

子供心に心配になったばあちゃんは、

村のお寺のお坊さんに相談に行ったんだって。

 

そしたらばあちゃん、

お坊さんに怒られる怒られる。

 

なんか、

 

一生分怒られたかと思うくらい

怒られたんだって。

 

「今思えば、

 

やったのは自分じゃないから

理不尽この上ない」

 

そう笑って話してくれたけど、

とにかく凄い剣幕だったんだって。

 

お坊さんは村の駐在さんと村長さんを呼んで

何やら話し込んでたんだけど、

 

ばあちゃんは子供だから蚊帳の外。

 

その後、

 

大人達が色々している間に

子供が見つかったそうな。

 

ばあちゃんは心配になって会いに行ったら、

 

縄でぐるぐる巻きにされて、

駐在さんに引きずられている。

 

ヤツの表情は凄い面変わりしていて、

まるで獣のような表情だったんだって。

 

そして、その時にばあちゃんは

しっかり見たんだそうだ。

 

子供の手に鬼の礫があるのを。

 

子供の影に角が生えていたことを。

 

それ以来、

 

その事件は村の忌み事となって

話題にはあがらないし、

 

つぶておにもしてはいけない遊びに

なってしまったということ。

 

まあ、婆ちゃん達自体が怖くて

もうする気はなかったみたいだから、

 

あえて禁止にするまでもなかったと

言ってるけど。

 

<実は、ここまでが前ふりで・・・>

 

今年の夏、

 

うちの実家に大学の友達3人が

遊びに来たんだ。

 

キャンプをするのに手頃な河原はないか、

ってことで礫ヶ沢を推薦したんだけどね。

 

それで、河原で2泊ほどして

帰ったんだけど、

 

その時につぶておにの話をしたわけよ。

 

一緒にいた友人をA、B、Cとすると、

 

オカルト好きのAが早速やってみないか、

そう言うんだ。

 

だけど、

 

ばあちゃんの真剣な表情を見ている俺は、

断固拒否。

 

BとCは、そういった方面には

全く興味がないから、

 

「嫌がる奴がいるなら、

あえてするまでもない」

 

ということで、

その場は終わりになったんだが・・・。

 

(続く)礫ヶ沢の「つぶておに」の話 2/2

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