闇金の取り立て屋をやっていた友人の話

首吊り

 

俺の友人は昔、闇金の取り立て屋をやっていた。

 

友人自身もかなりのDQNなので最初は天職だと笑っていたのだが、さすがに鉈を持って追いかけられたり、債務者の飼っていた飢えた大型犬に襲われて死にかけたり、子供が泣き叫ぶ中を無理やり一家離散の手続きを進めたりと、現実は想像以上に酷かったらしい。

 

だが、そこの会社の社長はヤクザでもあり、上司もウシジマくんの様な人だったから、なかなか辞められなかった。

 

そんなある日、事務所に債務者のおっさんから電話が入り、「金を返す」と言うので上司と一緒におっさんの家に向かった。

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数年経った今でも怖い

おっさんの家に着いて玄関口で呼んだが出て来ないので、鍵の開いていた玄関から侵入する。

 

案の定、闇金に手を出すくらいだから室内は荒れ放題。

 

ゴミ屋敷のような有り様の中を進んでいくと、奥の部屋におっさんは居た。

 

だが、おっさんは首に縄を掛けて宙に浮いて揺れていた。

 

さすがの友人も、首吊り自殺の現場を見たことは無かったので腰が抜けてしまったそうだが、上司はそんな光景すら見慣れているらしく、「借金返さないうちに死にやがってよ!」と死んでいる者にまで罵声を浴びせていた。

 

結局は警察に通報してその日は帰ったのだが、数日後から上司の様子がおかしくなった。

 

会社に出勤せず、家に閉じこもって電話にも出ない。

 

しかも、元々ヤバい薬に手を出していたようなのだが、その筋の話によると買う量がとんでもなく増えたとの事だった。

 

嫌な予感がして、会社の連中総出で上司の住んでいるマンションに様子を見に行った。

 

大家さんに鍵を開けてもらって中に入ると、風呂の中で上司は死んでいた。

 

検死の結果、死因は薬物の大量摂取による中毒死との事だったが、遺体には明らかにおかしな箇所があり、後に面倒な事になった。

 

何故だか遺体の首には縄で締められたような跡がくっきりと残っていたが、室内からは縄やロープの類いは発見されず、部屋の鍵も室内にあって完全な密室状態だった。

 

警察の調べでも、真相は全く分からなかったとの事。

 

そんな事もあって怖くなった友人は、会社を辞めてカタギの道に戻ったが、その後その会社は社長以下数人が首吊り自殺をして倒産したという。

 

しかし、それから数年が経った今でも友人は怖いらしくて、おっさんの命日には墓参りまでは行かないが、近所のお寺にお参りをして冥福を祈るのを欠かしていないそうだ。

 

(終)

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2 Responses to “闇金の取り立て屋をやっていた友人の話”

  1. 匿名 より:

    逆恨みで草

  2. 匿名 より:

    自業自得やな
    債権者はその強者の立場を利用して、債務者には何をやってもいいと勘違いしてるからこういう末路になる
    金貸しってのは、貸してる相手が人間だということが抜け落ちてる連中が多いわ
    因果は必ず還るものよ

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