呪われた第二の秘密基地 2/2

前回までの話はこちら

Aが外に出た後、まだ敷地内で下を向いているBと俺に差し出す手が震えていたが、その理由は直ぐに分かった。

 

確かに二人目はいた。

 

俺は足をチラッと見ただけだったが、さっきの老人の足とは違う若い女性の足で、くるぶし辺りが縦に数センチ裂けている感じに見え、その皮膚から裂けて見えている中の肉も青かった。

 

Aは、まださっきの祈りみたいなものを続けている。

 

祈る声が時々上ずったりして精神的にきつそうだったが、年下の二人を連れている事もあって頑張っていたと思う。

 

俺とBは、Aに縋(すが)るような気持ちで、Aの後ろを二人して並びながらAの手を掴んで進むしかなかった。

 

山道を下りる時もAは祈りを繰り返しながら、時々俺たちに「あと一人いるはずだからまだ下向いてろ!」と言っていた。

 

もうすぐ山道を抜けるところまで来た時、俺は安心感から頭を少し上げて前を見たが、道の先に誰も立っていないことに本気で安心した。

 

・・・が、やはり甘かった。

 

最後の一人は、進む先の路上から4メートル位の高さに時々ブレながら浮かんでいて、今じゃ見ないような結った髪型の着物を着た青い女が半笑いでこちらを凝視していた。

 

俺は怖さのあまりAにしがみ付き、Aは俺がそれを見たのが直ぐに分かったようで、俺を抱えるように歩いてくれた。

 

日が落ちた頃、やっと祖父の家に着いた。

 

出迎えた祖父は怪我でもしたのかと心配して訊いてきたが、Aがそれを見た事と、ちゃんとお祈りしながら帰ってきた事を話すと、家中が大騒ぎになったのを覚えている。

 

祖父と親父は慌てて供え物を持って何処かに出掛け、後から来た伯父も親父達の後を追って出掛けて行った。

 

祖母や母、伯母は、祖父の家に残ったが、伯母は大泣きでAに付きっきりだった。

 

俺とBは起こった事がよく分からなかった。

 

しかし、Aが夜になると熱を出し始め、死んじゃうんじゃないかと心配になって横で泣いていたが、祖母に他の部屋へ移されて寝かされた。

 

次の朝、祖父母の家から全員で、少し山を登ったところにある墓に手を合わせに行くことになった。

 

熱の下がってきたAも伯父に背負われていた。

 

誰の墓だかよく分からなかったが、墓は古く、少し大きめの石を土台に据えた感じのものだった。

 

俺の家系の氏神か何かかも知れないが、社とか無かったからただの墓なのかも知れない。

 

後日談

祖父の葬式の時に久しぶりにAと会って話をした。

 

Aは、「もし俺が奴らにやられていたら、狂ってお前らを殺していた。気持ちで負けん様に必死だったよ。お前は分家だから取り憑かれないけど、Bが見てたらやばかったかもな」と言っていた。

 

うちの家系は祟られているのか?と思い、少しだけ怖かった。

 

(終)

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