司法解剖後の裸の遺体が

 

普段からとても仲の良い、

年上の友達から聞いた話です。

 

その人のお兄さん（Aさん）は

所轄の刑事なのですが、

 

その方が体験された不思議な話。

 

ある日、管轄外れの川で、

水死体があがった。

 

ちょうど、隣の管轄との

境の川だったそうです。

 

水死体の処理は面倒らしく、

 

川を挟んでそれぞれの所轄の人たちが

モーターボートの水流で、

 

死体を相手の所轄側に擦り付け合いを

それとなくしていたのですが、

 

Aさんの管轄に漂着したそうです。

 

水死体は身元確認と死因特定の為、

司法解剖となるようです。

 

Aさんは司法解剖に立会い、

その日は何事もなく家に帰ったそうです。

 

そして翌日。

 

非番だったAさんの携帯に、

同僚の先輩から電話がかかってきました。

 

同「ところでお前、

該者の衣服知らんか？」

 

A「･･･え？

 

規定通り、該者と一緒に

置いているはずですよ」

 

同「そうやんなあ。

でも衣服があらへんねん。

 

まあ、もう一回探してみるわ」

 

と、電話は一旦切れました。

 

所轄では司法解剖の後に、

 

遺体は裸のまま厚手のビニール袋の

ようなものに包まれ、

 

引き出し式のロッカーみたいな場所に

安置するそうです。

 

衣服は畳んで、

 

ビニールに包まれた遺体と一緒に

置いておくそうです。

 

またしばらくして、

Aさんの携帯が鳴りました。

 

同「もう一回訊くけど、お前、

ホンマにちゃんとしまったんか？」

 

A「ええ。

 

ちゃんと司法解剖の後、

畳んで遺体と一緒にしまいましたよ」

 

同「ほんまか？」

 

A「ちゃんとしまいましたって！」

 

同「あんな･･･

 

さっき、ビニールの袋開けたら、

死体がちゃんと服着てるねん･･･」

 

A「えっ！？」

 

同「お前、畳んでしまったんやな？」

 

A「わざわざ服着せないでしょ！」

 

同「そやな･･･

 

他には言うなよ。

ややこしなるから･･･」

 

（終）