俺の部屋に俺が入ってきた?!

ドア

 

高校生の頃の話。

 

今では何てことはないが、当時は「近いうちに死ぬかも」と悩んだ。

 

住んでいた家は戸建てで、俺の部屋は2階にあった。

 

階段を上った左右にドアがあり、その右側の6畳の部屋。

 

部屋の主なレイアウトは、ドアの対面にベッド、そしてドアの横にテレビ。

 

ベッドの上からテレビ(ドア側)を見る生活スタイルだ。

 

基本的にドアは閉めていて、開けっ放しにすることはまず無く、家族もよっぽどのことがなければ入ってくることはない。

 

それが起きたのは夏休みだったと思うが、ベッドに座ってテレビを見ていると、階段を上ってくる足音が聞こえた。

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ドッペルゲンガーを見てしまったのか?

足音が部屋の前に来たと同時に、バン!とドアが開いた。

 

なんと、開いたドアから”俺”が入って来ようとしていた。

 

部屋に入ろうとした俺は驚いていて、大声を上げてすぐにドアを閉めた。

 

こっちの俺は固まって動けなかった。

 

怖くてドアを開けることが出来なかったので、窓から大声で親を呼んで2階に来てもらった。

 

もちろん誰も居るわけがなく、そんな与太には付き合えない感じで放置された。

 

それからは部屋に居るのが怖くて居間で過ごしていたのだが、さすがに不便で1ヵ月ほどで自分の部屋に戻ることにした。

 

それでもまだ怖かったので、部屋のドアを開けて生活することにしたのだが、冬になるとどうしても寒いので次第にドアを閉める生活に戻った。

 

ただ、部屋を離れる時はドアを開けるようにしていた。

 

ある時、部屋に入ろうとして”違和感”があった。

 

後に気付いたのだが、ドアが閉まっていたのだ。

 

その時は気付かず部屋に入ろうとしたら、こっちを見つめて驚いている俺が居た。

 

『自分とそっくりな人を見かけたら死ぬ』という迷信を聞いたことがあったのでかなりビビッていたが、あれから20年近く経つが無事に過ごせている。

 

ただ、部屋の中に居た時の俺は夏で、部屋に入って来た時の俺は冬と、季節が違っていたのが気にはなっている。

 

ドッペルゲンガー(Wikipedia)

自分自身の姿を自分で見る幻覚の一種で、「自己像幻視」とも呼ばれる現象である。 自分とそっくりの姿をした分身。

 

(終)

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