自分とソックリな人を見かけたけれど･･･

 

これは、ドッペルゲンガーとは何か違う、不思議な体験をした話。

 

数年前のこと、いつも行っているコンビニに、私と同じ服を着た人がいた。

 

雑誌を立ち読みしているようで、向こうも「あれ？」という感じでこちらを見た。

 

そして、また雑誌を読み始めた。

 

私がその時に着ていた服は、その店の人が手作りしているものなので、同じものを着ている人はこれまで見たことがなかっただけに、偶然にしてもかなりビックリした。

未来視？

ちなみに私はまだ依頼していないけれど、もし服のデザインに飽きたら、店に持ち込んでお金を払えば更に加工してもらえるブランド。

 

相手が着ていた服は”加工済み”のものだった。

 

しかも、「服の趣味って、やっぱり容姿も似るのかなあ」という感じで、顔立ちもチラっと見たら私とソックリ。

 

本当に驚いたけれど、気にせず適当に買い物をして帰った。

 

それから１年後。

 

同じコンビニに、あの時と同じ服で行った時のこと。

 

ただ、デザインに飽きたので加工してもらっていた。

 

その服を着て雑誌を見ていたら、また同じ服を着た人が入店して来た。

 

今度は向こうが未加工の服。

 

化粧の方向性や髪型なんて１年も経てば変わるもので･･･。

 

なんと言うのか、『１年前の自分』が入店して来た感じだった。

 

訳が分からない状況。

 

１年前とは逆の立場でコンビニにいる『二人の私』。

 

反射的に雑誌に目を落とすと、去年の私はさっさと会計を済ませて退店していった。

 

これは一体どういった現象なんだろう？

 

自分とソックリの姿をした分身と言われるドッペルゲンガーとは違う気がするし･･･。

 

本当に謎だらけの体験だった。

 

別人の類似体験談

同じような体験をしたことがある。

 

私が子供の頃から、親も間違えるほど『私と似た人』が同じ生活圏内にいたらしかった。

 

なので、友達からも「昨日×××にいたね！」と言われることがよくあった。

 

学校にいるはずの時間に、ショッピングセンター内の美容室で髪を切っている姿を見かけたと、学校から帰宅するなり親に叱られたこともあった。

 

そして高校生３年生の夏休みの時のこと。

 

学校主催の合宿帰り、乗った電車のドア横に私は立っていた。

 

いつもは乗らない路線だった。

 

駅に着くと反対側のホームにも電車が停まっていたけれど、そのドア付近で”私にソックリ”という噂の人をついに見た。

 

噂通りすごく似ていたけれど、私は奥二重なのに彼女は綺麗な幅広二重。

 

髪を巻いていて、コンサバファッションで、自分より綺麗な人だなあと思いながらぼーっと見ていた。

 

すると、その女性はふと顔を上げて私を見つけると、すごく驚いたように目を見開いて私を見ていた。

 

しばらくして向こうの電車がゆっくり動き出しても、視線は私から離すことはなかった。

 

私は大学生になり、あの時の合宿帰りに乗っていた路線は、大学やバイト先へ行くために毎日乗っていた。

 

ある日のこと、電車のドア横に立って本を読んでいると、視線の端に反対側のホームにも電車が停まったことが見え、ふと顔を上げた。

 

すると、私の出身高の制服を着た『高校生の私』がその電車内にいた。

 

母校は私の学年を最後に少しだけ制服が変わっているはずなのに、その彼女は当時の制服を着ていた。

 

それに、私の学年カラーの襟章と生徒会役員章も付いていた。

 

生徒会は３年生しかいなのに、その学年カラーの彼女が本当に存在するのなら、彼女はまだ１年生のはずで、生徒会役員章を付けているはずはなかった。

 

彼女はまるで人形のように、表情を変えることなく私のことを見ていた。

 

私が乗る電車が先に動き始めてしまい、彼女が見えなくなるまで私はその姿を見ていた。

 

バイト先には、更衣室に入ると大きな鏡がある。

 

そこで自分の姿を改めて見直した。

 

巻き髪をして、メイクで二重にした顔に、コンサバファッション。

 

あの時に見た女性は、今の私の姿そのものだった。

 

それなら、さっきの彼女はやはり『１年前の私』ということになるんだろうか？

 

その日以来、私の生活圏内で「×××にいたよね？」と言われたことはない。

 

（終）