知らずのうちに私は何かに憑かれていた?

布団

 

これは、私が高校生の頃の話です。

 

その日、私はいつもと同じように布団に入りました。

 

ただ、少し疲れていたのを覚えています。

 

そして、すうっと眠りに入るくらいのタイミングで、少しずつ体が布団から浮いてくる感覚がありました。

 

「あれ?」と思いながらも、それほど怖さは感じませんでした。

 

どちらかというと、「こんなの初めての体験だ!面白い!」と思っていました。

 

布団から5センチほど浮いているのがはっきり感じられた状態でいながら、同時に夢を見ていました。

 

夢の中で、私は居間にいました。

 

私はあぐらを組んだ状態で、床から15センチくらい上をふわふわしていました。

 

次第に自分の意思で縦横無尽に移動出来たり、空中でくるりと回ったり出来るようになったりしました。

 

その場には私以外に母がいたのですが、母はそんな私を見て呆れているような、信じられないような、何とも言えない顔をしていました。

 

そんな私は母に「楽しい!楽しい!」と言って、どんどんテンションが上がっていました。

 

同時に、動くスピードもどんどん速くなり、ビュンビュン動けるようになりました。

 

そんな私を見ていた母は急にハッとした顔をして、「これは何か憑いているね」というようなことを言いました。

 

そして洗い場からボロボロになった雑巾のような布巾を持ってくると、浮いている私を捕まえて、私の顔の目の前をその布巾で拭うような仕草をしました。

 

すると、私はストンと床に落ちてしまい、二度と浮けなくなってしまいました。

 

その時の私は、浮けなくなってしまったことに不満でした。

 

ここまでが夢の話です。

 

朝に目が覚めると、体が浮いていた様子もなく、いつも通りでした。

 

ただ、あまりにも生々しい感覚があった夢だったので、母にその話をしてみました。

 

最初のうちは母も「変な夢だね」と笑って聞いていましたが、私が雑巾のような布巾で顔を拭うという部分を話すと、ちょっと真剣なような戸惑った顔になりました。

 

私が話し終えると、母の出身である沖縄の小さな離島に『雑巾で顔を拭うというお祓いの仕方が古い慣習としてある』と教えてくれました。

 

もちろん私はそのような慣習は全く知りませんでしたので、なぜそれが夢の中に出てきたのかわからず大変驚きました。

 

本当に不思議な体験でした。

 

(終)

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