いわくつきのラブホテルでの営み

私が学生のころ、

当時付き合っていた彼と面白半分で、

地元で有名な心霊スポットに行きました。

 

そこは当時まだ営業を続けていた

ラブホテルでした。

 

昔そこに宿泊したカップルが喧嘩をして、

それが二人の無理心中事件に発展した

という噂の場所でした。

 

まあ、若干古い感じのホテルだったので

価格は安く、中は地味だけど

小奇麗に清掃されていると感じました。

 

私たちは一通り部屋を見て回ると、

いつものようにエッチを始めました。

 

そのとき私は、なんだか噂の場所でしているのが

変に興奮して、恥ずかしいのですが

とても高揚したのを覚えています。

 

彼もそんな私を言葉で弄んでいましたけど、

やっぱり普段とは違う様子でした。

 

正直言うと今までのエッチの中でも、

かなり気持ちよかったです。

 

私は彼よりも先に気をやってしまったのですが、

それでもやめてくれないので、

意識が朦朧として何度も途切れていました。

 

そのうちふいに彼が声をあげて

果てたのがわかりました。

 

けれどその時の私は、

全身が凍りつくような感覚に襲われました。

 

感触で気づいたのですが、

彼はいつのまにか避妊具を外していたのです。

 

だめ、と言ったのですが

彼の反応がないのです。

 

止まらずに脈打つのを感じましたが、

呼びかけて私は異常に気づきました。

 

ドクドクと本来なら数回で終わる営みが、

いつまでも私の中に響いているのです。

 

妊娠してしまう!!

 

とっさに彼を引き剥がそうとしましたが、

彼は離れてはくれませんでした。

 

その間にもドクドクと

私の中に注がれている感触で、

私は全身の水分が冷や汗になっていく

感覚に襲われていました。

 

その時、私は上体を起こして

彼を見たのですが、

彼は生気のない顔でうつむき、

うっすらと笑っているようでした。

 

私は自分の恋人とは別人だと、

直感で感じました。

 

突き飛ばすと無我夢中で動転して、

私は掻きだそうとし、

その部分を見て悲鳴をあげて

気を失ってしまったようです。

 

気がつくと本物の彼が、

私を看病してくれていました。

 

例のホテルのベッドの上で

着るものもつけないままでした。

 

しかし、私の体に異変はありませんでした。

 

あれほどの精子を注がれていたら

溢れてしまったと思いますが、

まるで痕跡がないのです。

 

私はものすごい恐怖で震えてしまって、

ろくに言葉も話せませんでした。

 

なんとか彼にチェックアウトしたいことを伝えて

自宅へそのまま送ってもらいました。

 

帰りも、そして帰った後も、

私はあの光景が目に焼きついて

離れませんでした。

 

あの時、気を失う間際、

私の足の間に見たのは、

真っ黒な肉の塊でした。

 

私に注がれていたのは精子ではなくて

血のようなものだったのです。

 

後日、私は知人に詳しく

ホテルのことを聞きました。

 

そこの噂は悪意に満ちたイタズラも含め

諸説あったようです。

 

無理心中をしたカップルは学生だったそうで、

女の人が妊娠してしまったことをきっかけとして

無理心中をしたという噂があったそうです。

 

私はそれを聞いてゾッとしました。

 

つまり、あのホテルで命を絶ったのは

二人ではなく「三人」だったのです。

 

これは私と旦那の唯一の恐怖体験です。

その次の年、私たちは妊娠を期に結婚しました。

 

この子がその時に出来てしまった子なのかは

わかりませんが、私たちは今幸せに暮らしています。

 

(終)

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