金曜27時の自分撮り

都内に住む女子中学生のお話。

 

今や、持ってて当然のカメラ付き携帯。

 

自分撮りが可能なものから

フラッシュ付きのものまで様々だよね。

 

中学生のAさんが友達から、

「金曜27時に、真っ暗なトイレで

自分撮りをすると面白いよ!」

と言われ、

まぁ暇ということでやってみました。

 

Aさんの携帯はフラッシュ機能が無いため、

真っ暗ということもあり、液晶の照明で

わずかに顔が写る程度でした。

 

そして、27時になったと同時に

シャッターを押しました。

 

しかし、結局写ったものは、

黒目の開いたAさんと真っ暗な背景。

 

ガッカリしていたとき、

友達の言葉を思い出しました。

 

「何もなかったら、

翌日また27時にやってみな!」と。

 

まぁ土日だしいいか・・・と、

いざ実行。

 

すると、真っ暗な背景の中に

赤い点が写り込みました。

 

Aさんは驚き、もう一度撮影。

 

今度は赤い点ではなく、

赤い物体に大きくなっています。

 

気になってもう一度撮影してみると、

赤い物体はさらに大きくなっていた。

 

明らかに苦辛と怒りに満ちた

表情をしている真っ赤な女の子。

 

その画像を保存して、もう一度・・・

撮影する勇気はありませんでした。

 

トイレを出て部屋に戻っても、

画像を確認すると何も写っていません。

 

もうAさん、ブルブル振るえまくり。

 

それからしばらくして、学校の友達と

花火大会に行ったとき、

花火を背に自分を撮ろうと試みました。

 

だけど、撮影できたのは、花火が散って

夜空だけの背景のときでした。

 

そこに写り込んだのはAさんと、

真っ暗な夜空の背景、

そして飛び出さんばかりの真っ赤な少女。

 

Aさんは驚愕しました。

 

泣き叫びながら帰路に着き、

布団に潜っているとメールがきました。

 

友達から、

「大丈夫?何があったの?」

Aさんは、なんとなくホッとしました。

 

もう一件のメールに気づきました。

 

件名なし。

宛先不明。

 

恐る恐る開くと、

「次はあなたに触れたいから」

 

今でも彼女は、背後の闇に怯えながら

生活を送っています。

 

後日、

「やってみな」と教えてくれた友達に、

Aさんは顔見知りに心当たりがなく、

一切出所が不明な話になっています。

 

一度でもやったら近づいてくるんです・・・。

 

(終)

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