山で仕事をしていた祖父の遺骨から

牙

 

これは先日、母方の祖父が亡くなった時の話。

 

祖父は若い頃から山で仕事をしていて、色々な話をしてくれた。

 

通夜の翌日、火葬が行われた時のこと。

 

若い頃から1日も休まず山仕事をしていた祖父の骨は大変丈夫だったらしく、予定の時間より長く火葬したにもかかわらず、骨はほとんど崩れていなかった。

 

仕方ないので納骨用の箸で割ろうということになり、始めようとした時に母がある物を見つけた。

 

祖父の遺骨のすぐ脇に、『動物の牙』のような骨があったのだ。

 

明らかに人の骨ではないし、前述の通り、崩れた骨の破片でもない。

 

参列者も火葬場の人も不思議に思う中、祖母がポツリと「長いこと山で仕事をしていたから山の神様が御使いを下さったんだ」と言った。

 

普段なら絶対に信じないと思うが、その時は妙にその言葉に納得した。

 

(終)

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